有職文様とは

本来、『有職(ゆうそく)』は『有識(ゆうしき)』と表していました。

我が国の律令政治は中国の隋(ずい)や唐の制度を倣って始まりました。

政治を司る為に、国の所持に対する正しい判断と知識を常備していることの必要性と、その時々のことを子細に記録しておくことの常用性がありました。

最初は、そうした知識や経験を有する者を『有識者』として待遇をしていたのですが、次第に官職として取り上げて地位を与えるようになりました。

そこで、有識者の職分という意味で『有職』の言葉が使われるようになりました。

さらに、故実に携わる有職を『有職故実』、そこで用いられる文様を『有職文様』と称するようになりました。

有職文様には、建築物から調度品、衣料に関わるものまで広くありますが、特に宮中の官服としてあった袍(ほう)の織文や、各家が専用した衣服の織文様は、身分や地位、血脈の尊卑を伝える極めて重要なものとして取り扱われました。

 

天皇の桐竹鳳凰文や皇太子の鴛鴦丸(えんおうまる)、高位臣下の雲立涌など、多数の文様が今日まで残っています。

 

            桐竹鳳凰文様(きりたけほうおうもんよう)
 
         
                       輪無唐草文(わなしからくさもんよう)
 

有職文様(例)

『雲立涌文様』『浮線綾文様』『輪無唐草文様』『唐花七宝文様』『桐竹鳳凰文様』

『屋形文様』『刺車文様』『鶺鴒文』