『破調の美』

『破調』とは、文字通り調子を破ることだ。
一般的に美しいものは、本来そこには必ず何らかの調和がある。
『破調の美』この一見矛盾する美意識こそが、日本人の自然観から生ずる最も優れた感性の一つだ。

不規則性や不連続性の調和こそが自然の本質であると言える。

木漏れ日、蛍の光の点滅、星のまたたき、自然に吹く風や川のせせらぎ、打ち寄せる波の音、舞い散る花びら、虫の音、これらは人間に心地よさや安らぎを与える。自然界のリズムは常に一定ではなく、不規則なリズムだ。
人間が感じる心地よい自然に近いリズムをもたらす為の破調こそが、琳派の絵師達が描いた破調の美。
さらに琳派の絵の構図に注目すると、破調はアシンメトリーで動的なコンポジションを生み出している。


人間が不自然だと思うこと、自然だと思うこと。この差はまさに破調のあるなしだと言える。


これは、現代の「1/Fゆらぎ理論」そのものだ。

琳派の優れた絵師達は現代の科学者達が導き出したこの理論を、遥か昔に自然の美の本質を求めることによって悟り、作品に取り入れていた。

 
 

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