ジェジュンor(カ)ジェシカ‐63~時を止めて③ | ユノ&ジェジュン 妄想ブログ~I need to be in Love

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~愛がなければ生きていけない~
幸せのかたちはいろいろあるけれど…
そこには、必ず “ 愛 ” がある
人間(ひと)には必要不可欠なもの?
“ 愛 ” があればどんな困難も乗り越えられる?
そんな姿をユンジェで妄想しています♥

 

 

翌朝

ジェジュンは目を覚ました

 

弱ったジェジュンにジェシカのフリをさせるのは

体に負担が大きいと判断した

チャンミンの計らいで

夫人は病院へ顔を出さなかった

 

連日の雨が止み

久方ぶりの爽やかな天気で

青い空に綿菓子のような白い雲が広がっている

 

「窓…開けて…」

 

ひと言、言ったきり

たまに吹く風に、カーテンがふわりとたなびき

優しく髪を揺らしても

ジェジュンは、壊れた人形みたいで動かない

 

食欲もないようで

朝食も手つかずのまま、看護師が下げていった

 

 

『ジェジュン?ジェジュン…』

 

ボアが何度か声をかけても

ぼ~っと窓の外ばかり見て気づかないようだ

 

『はぁ~ジェジュン、どうしちゃったの?』

 

柔らかな髪にそっとボアが手を置くと

びっくと初めて反応を示した

 

『食欲がないなら、これでも飲みなさい』

 

温かいココアのカップをジェジュンの両手に持たせながら

ボアが声をかける

 

『ねぇジェジュン、私には本当の気持ちを話してくれる?』

 

両手でカップを持ったまま、俯いてしまった

ポッとシーツに零れ落ちた涙にボアが驚いた

 

『ど、どうしたの?』

 

「ボア…さん、みっともない…」

 

  ―――愛されたいとか

  いつも誰かに、気にかけてほしいなんて

  そんなふうに、望んじゃいけないと思っていたのに

 

  今になって気づいてしまった

 

  ユノさんに、会ってあの人をこんなに…ほしいなんて

  どうしよう…側にいるだけで

  心がどんどん求めてしまう

  はやく…はやく離れないと

  

  …でもそうなったら

 

  僕はまたひとり…なんだ

  今までも……これからも

 

「泣く…なんて…」

 

ぐいと引っ張られ、ボアに抱きしめられた

 

「――え?ボ、ボアさん…」

 

『いいから、泣きなさい

 泣きたい時は泣いていいのよ』

 

ジェジュンは、涙が止まらなくなってしまった

ボアが優しく背中を撫でてくれるから

2年前の出来事があざやかに蘇ってくる

 

  大丈夫、大丈夫だから…

 

  雨に濡れて、凍える体を

  温かい手で、優しく癒してくれた

 

  ―――ユノさんのこと、良く知らないのに

  何故か、初めから安心できた

 

  なのに―――

  ユノさんから、離れなければならないと思うと

  何かがつかえたように、胸が苦しくなる 

  

  早く時計を返さなきゃ

  ますます、離れられなくなる

 

  ……胸が、つぶれそうだ――――

 

ぎゅっうと、ジェジュンはボアに抱き着いた

 

『…ジェジュン、このまま…聞いていい

 あなたは、ユノをどう思っているの?』

 

びくっと体が揺れた

 

「…………」

 

『私だって、あなた達ふたりを見てたら

 ただの知り合いじゃないってことぐらいわかるわ』

 

細い背中をびくびくと震わせ

ぎゅうっと強く腕を掴んでくるから
ボアは尚更、ジェジュンの痩せた細い体を抱きしめた

 

『私だったら、力に慣れるかも知れないでしょう?』

 

ジェジュンは、声を殺して泣いてる…

 

「………」

 

『どう?』

 

「………僕が…死のうと死と時

 ひろって、助けてくれたのが…ユノ…さんです」

 

『…ジェ…ジュン……』

 

ボアさんは余程驚いたようで

絶句しているのがその声で伝わって来た

ジェジュンは涙声になりながら、必死につづける

  

「ユノさんは…僕は、何も…言えなくて

 言いたいこと、うまく言えない僕でも…」

 

ボアが抱きしめながら

ジェジュンが嗚咽する背中を、優しく撫でてくれる

 

『ジェジュン…』

 

「…不思議と解ってくれた

 理解しようとしてくれて

 初めて…こんな僕を…愛してくれた…人だった」

 

黙って聞いていた、ボアがきつく抱きしめたまま

ジェジュンの耳元で呟く

 

『……ユノと…』

 

「え?」

 

『だったら、ユノについて行きなさい!』

グッと抱かれていた肩を持たれ、引き離されたかと思うと

目を見つめてボアが強く言い放った

 

「ボアさん…」

 

『ジェジュンが死のうとした時に出会ったなんて

 まして、そんなあなたを解ってくれたんでしょう?

 絶対そんな人と離れちゃダメよ!!』

 

「そんなこと……できない…できないよ」  

 

ジェジュンが、悲愴な瞳で

顔を横に振り、俯いてしまった

シーツにぽたぽたと涙が零れ落ちる

 

『どうして?』

 

「僕が…ジェシカは僕のせいで死んだ…から…」

 

頭を垂れた柔らかな髪のすき間から

泣き濡れた蒼白い表情が歪んで見えた

 

『ジェジュン…』

 

「ママ…ママをおいていけない

 約束を…約束したから…

 あんな母さんを…母さん…母…さん」

 

ジェジュンが、体を震わせて白い顔をより蒼白くして

呪文のようにブツブツ呟く

 

『ジェジュン、しっかりして、ジェジュン

 あなただけのせいじゃない…』

 

びくびくと体を震わせたかと思うと

我に返ったように、ボアの両腕に縋りついて来た

 

「ボアさん、もう一度ユノさんに会わせて

 返さなきゃ、大事なものだから

 協力して、お願い、お願い…

 僕を…助けて…」

 

悲愴な表情から一変して

真剣な眼差のジェジュンが懇願する

 

ボアは驚き

『うん』と頷くしかなかった