僕は、今。

おそらく、社会不適合者と呼ばれても仕方のない時間を過ごしているのでしょう。

 

 

鬱症状。

それに伴い、仕事を欠勤しています。

家庭があり、経済的に余裕のない身としては「そんな甘えたことを言っている場合ではない!」とお叱りを受けるかもしれません。

そして、実際に、それが怖い。

 

 

 

 

 

僕は、今年3月に、これまで所属していた芸能事務所を離れ。

これからの俳優活動のレベルアップのために、体勢を立て直している最中で。

その間の中継ぎにと、現在、派遣社員として、あるオフィスの中で時給で働いています。

 

時給計算である以上、内容はどうあれ、仕事を欠勤するということは、生命線が一つ一つ絶たれるということに直結します。

 

 

 

 

 

 

これまで、作品解説を軸に置いて、このブログを書いてきましたし、それはこれからも続けていくつもりです。

そんな中で、自分自身のこうした身の上は、このブログの中で多くを語ることは控えようと思っていました。

 

けれど、記事をお読み頂いていて、多くの方がお気づきになっているかもしれませんけれど。

ミュージカルや、演劇、映画は、娯楽である以前に、芸術作品だ、というのが、僕の考え方です。

 

芸術は、これまで、多くの人を救ってきました。

人を幸福へと導くことが、芸術の役割だからです。

 

 

それゆえ、戦争が起こると、軍隊はこぞって芸術を弾圧・排除しようとしました。

軍人たちは、戦争の中で人々が悲劇の渦に堕ちてゆくことを、知っていた。

 

そんな状況の中で、人を幸福へと導く道具があっては困る。

戦争は、本来的に不幸なものだから、人々が進んで不幸を選択するようになってくれなくては困る。

 

 

でも一方で、軍人たちは。

芸術には、本当に人を幸せにする、途轍もないパワーがあることも知っていた。

 

だからこそ、必死に芸術を排除しようとし。

そのパワーを逆手に取って、プロパガンダに利用しようとしたりした。

 

 

芸術には、それだけ、人の心を導く強烈な力があるのです。

 

 

そして、それを語るためには。

やはり、僕自身の人生を交えてそれを語っていかないことには始まらないのだと、この数日で、改めて感じました。

 

 

 

 

 

 

エリザベート皇妃は、皇室の生活から逃げるようにして、旅を続けました。

彼女自身、その姿は、誰にも見られたくはなかっただろうけれど。

その人生がミュージカルとなって、今、皆さんは、その「見られたくない姿」を舞台上にさらけ出す彼女を見て、涙しています。

 

 

それは本当に、見られてはいけない姿だったのか??

 

 

それとも、本当は、それこそが彼女自身の本当の姿で。

でも、「社会不適合者」の烙印を押されないために、そうせざるを得なかっただけなのだろうか??

 

 

そんな彼女の姿を見て、観客の皆さんは、「社会不適合者」の烙印を、彼女に押し付けるだろうか??

 

 

皇太子ルドルフが、陰に隠れてまで、父の国を建て直そうとした行為を。

皆さんは、「社会不適合者」「皇太子失格」として、嘲り笑うだろうか??

 

 

 

 

数日前。

僕は、こうしたことを考えさせられる、ある経験をしました。

 

派遣の、職場の中で。

 

 

 

 

その経緯は、一旦割愛しますけれど。

些細なことだったのかもしれませんが、僕にとっては「人の心とは何か?」ということを、大いに考えさせられる出来事でした。

 

心を押し込めて、お金のために事務的に物事を処理していくことに、なんの意味があるのだろうか??

 

 

 

「それが、仕事というものだろう」

 

「それができないのは、社会不適合者だ」

 

 

 

この数日、そんな言葉が、僕の頭の中を駆け巡り、僕を攻撃し続けました。

 

 

 

 

なんとか、割り切ろうと努力しました。

 

 

 

でも、割り切ろうと思えば思うほど、自分自身をナイフで切り刻むような痛みを覚えました。

 

 

 

 

 

 

ブログの発信も、止まりました。

 

 

 

 

 

 

……なぜ、ブログが書けないのだろう??

 

「演じないために」と題し。

作品世界を、人間の心を基軸に旅する記事を書いている自分が。

こんな大事な瞬間に、なぜ口をつぐむのだろう。

 

 

やっぱり、心のどこかで、本当の自分をさらけ出すことを恐れ。

それを「悪」としてしまっているのかもしれない。

 

 

でも、心が傷ついていくこの瞬間も。

社会不適合者だと自分を責め立てる声と戦う、この瞬間も。

芸術家として、それこそが一番伝えたいことだったのではないのだろうか??

 

 

なんのために、事務所を一旦辞めてまで、俳優としての命を生まれ変わらせようとしたのか。

より、高い次元の俳優活動をするためじゃなかったのか。

演じる役に、もっともっと、正直な人間の魂を吹き込むためじゃなかったのか。

 

 

 

 

なぜ、逃げようとするのか。

 

 

 

 

 

どうして、これだけたくさんの方たちが、舞台作品を愛し。

僕のブログを読んでくださっているのか。

 

 

旅に出たエリザベート皇妃の姿を、暗い客席の中で、自らの人生と重ね合わせ、癒されているからではないのか。

 

 

表現者は、その舞台上で、苦しい人生をさらけ出していくものなのではないだろうか。

 

 

 

 

それが、自分の求めていた、俳優という芸術家の姿ではなかったのか。

 

 

 

 

 

 

誤解していただきたくないのは。

 

俳優にとって「さらけ出す」ということは、実生活のあれこれを赤裸々に公開するということではありません。

その人が、朝、何時に起きて、何を食べて、どんな友達と遊んで、どんな恋愛をして、どんな浮気をして、どんな部屋に住んで、年収はいくらで、どんなケチな商売をして、いくら借金をして……そんなことは、どうでもいい。

それは、ワイドショーのネタに過ぎません。

(ワイドショー的には、それはそれで、重要な商売道具であり、生命線ですから、否定はしませんけれどね。)

 

 

芸術で大事なのは、その「心」を伝えること。

ピカソが、何人の愛人を囲っていたって、そんなことはどうでもいい。

重要なことは、彼がその時、何を感じ、その魂は何を発見し、成長したのか。

 

 

 

 

僕が、今、鬱症状に見舞われていることも、それ自体はどうでもいいんです。

それよりも、もっと大事な「伝えたいこと」がある。

 

そのために、語らなくてはいけないことは、語る。

ただ、それだけです。

 

 

 

 

別に、派遣で時給の仕事をすることだって、もちろん悪いことだとは思っていません。

ただ、問題は、そこではないんです。

 

 

それが、自分らしさである人もいれば、違う人もいる。

だから、たとえ、職場で自分がうまく立ち回れていなくても。

決して、自分自身の存在価値や能力に欠陥があるなんて、思わないでほしい。

 

 

 

 

でも、今、僕は。

自分自身の能力や、存在価値や、社会性に、自信をなくしかけている。

 

でも、それだって、いいじゃないか。

 

そんな僕の記事を、こうして読んでくださっている、あなたがいる。

 

 

 

 

エリザベート皇妃だって。

ある人から見れば、羨望の的で。

そのきらびやかな姿を見て「自分の人生なんて、貧乏たらしいクズだ」と感じた人もいただろう。

 

ところが、その本人は。

そこから逃れ、自分らしさを取り戻そうと、旅を続けたんだ。

 

 

 

そんな彼ら、彼女たちを見て。

嫉妬心を抱き、自分の無価値感に打ちひしがれる群衆を、あなたは責めるだろうか?

他人から見たら豪華な生活を送っていながら、そこから逃れようとするエリザベート皇妃を責める気になるだろうか?

 

 

 

 

 

 

 

人には、それぞれの道がある。

皇室が合う人もいれば、貧しい生活の中から宝物を見つける人生だってある。

 

しかし、自分の人生に不満を抱え、それを誰かにぶつけるだけで終わってしまっていては、その道は見えてこない。

 

 

 

そして、往々にして。

人は、自分が求めている人生とは全く違う場所から、その生涯をスタートする。

 

だからこそ、人生という旅路がある。

生まれた瞬間にゴール地点にいたのでは、旅のしようがない。

 

 

 

 

 

 

今回、僕が経験したことは、本当に些細なことだったかもしれないし。

実際、周りの人たちも、悪気がないこともよく分かっている。

むしろ、その方たちはその方たちで、最適解を提示してくれている。

 

ただ。

その一連の出来事から、僕は、「仕事」について僕なりの気づきを経験した。

 

 

 

もっともっと、心に寄り添った活動がしたい。

 

決して、必要以上に豊かにならなくたっていい。

 

それが「仕事」である以上、生活ができなくなってしまうのは困るが。

少々の、お金の余裕さえいただければ、それでいい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

心を殺していくことだけは、我慢がならない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 

谷口浩久 ソロ・ライブ II

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(『レ・ミゼラブル』『エリザベート』『オペラ座の怪人』)

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