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1957年、イタリア。59歳のエンツォ・フェラーリはベッドに女性を残し、そっと立ち去る。仕事をしてから自宅に戻ると妻が拳銃で撃ってくるが当たらず。

 

 

妻との一人息子ディーノを亡くしてから一年が経ち、カステロッティがテスト走行中に事故死、会社経営は破綻しそうになっており、戦時中からの浮気相手からは10歳になる息子を認知するようせがまれていた。

 

 

エンツォは人気レーシングドライバー・ポルターゴを雇い、優勝と経営立て直しを図るが…。

 

 

良かった。こういうのが観たかった。面白いというより見応えがあった。男をカッコよく撮る監督は女を撮ってもカッコよかった。

 

 

エンツォ・フェラーリのかっこいいところではなく、会社人間としての仕事っぷりとだらしない女関係を見せられる。公道レース・ミッレミリアでの優勝をクライマックスに持ってきて、そこでの酷い事故もワンセット。

 

 

エンツォ・フェラーリの90年の生涯のどこを切り取るか。例えばオペラ好きの権力者とかピッカピカのサクセスストーリーにもできたわけだからね、それを、怒れるシゴデキ妻ラウラとクレバーな愛人リナのキャラを立たせて、ドラマは三角関係に絞った。これが正解かどうかはわからんが私にはストライクゾーン。ハウスオブグッチより好きだな。

 

 

エンツォのキャラが薄く見える脚本がいい。溺愛していた息子を失ってボロボロのおっさんをアダム・ドライバーは上手く演じてたと思う。髪は白いが顔が若いのがちょっとアレだけどね〜。

 

 

事故で亡くなったドライバーについて言及せず、事故車の検分に時間をかけ、このひと人間より車が好きなんだろうなって思わせる配分に唸らされた。

 

 

そして、女性陣が良い。エンツオが死ねばよかったって言う毒母も強烈だし、リナを演じたシャイリーンウッドリーはこういった役を演じる年齢になったんだな〜って感慨深いし、ぶっちゃけ不倫相手なのに泥棒猫風に扱わない演出も良い。

 

 

ラウラをやったペネロペクルスが何より誰より最高にカッコいい。主役じゃないのにここまで印象に残るなんてすごいわ〜。