シネスイッチ銀座。

 

 

1941年、ワルシャワ・ゲットー。ユダヤ系ポーランド人フィリップはナチスに家族と恋人を殺される。数年後、フィリップはフランクフルトでフランス人給仕として外国籍の仲間と高級ホテルで働くかたわら、ドイツ人の女性と寝ては捨てる行為を繰り返していたが…。

 

 

全く情報を入れずに観た。長尺ながら全く眠気が来なかった。2022年のポーランド作品。1961年に発行され発禁となった原作は作者の自伝的要素があるという。

 

 

ドイツ女を引っ掛け、ものにしては捨てる。それは純血種を守りたいナチスドイツへの復讐であり、フィリップなりの心的外傷の治療のひとつ。ナチス将校がフィリップにつけで避妊具を買っといてくれって言うのは、自分らの純血を守りたいってことなんだなー。エグいなー。

 

 

 

ある日、いつものように声をかけたドイツ人女性リザに真剣に恋をしてしまったフィリップ。とうとう自分の素性を明かしてしまうがリザは意外な反応を示す。自分を偽ってきたフィリップはここでやっと本来の自分を取り戻す。

 

 

が、あることで親友を失ったフィリップは現実にめざめる。最後の彼の行動はリアルに見えたが、拳銃を持つのも嫌がっていた給仕が果たしてあそこまでできるのか、あの列車に乗れば本当に自由になれるのか、本当は収容所行きじゃないのか、などと思考がグルグルした。

 

 

ナチス映画であり、復讐譚であり、ヒューマンドラマでラブストーリーでもある。現実世界に馴染めない帰還兵の物語のようでもある。主人公フィリップ役のエリック・クルムJr.のキレっぷりを是非ご覧ください。