ヒュートラ渋谷。

 

 

2019年8月、チャレンジャー大会決勝。故障あがりでグランドスラム達成を目指すアート・ドナルドソン対ランキング200位代の金欠ベテラン選手パトリック・ツワイグ。その試合を見守るのは元天才女子プレイヤー、タシ・ダンカンだった。

 

 

ストライクゾーンすぎて放心状態。実質131分の尺が体感60分くらい。見る前に情報を入れないようにしていたのだが、「君の名前で僕を呼んで」の監督だった。どうりで…笑

 

 

アート、パトリック、タシの三人の10年以上にわたる関係を、現在と過去をラリーのように行ったり来たりしながら説明していく。アスリート映画というよりテニス中毒の女子がその興奮を求めてふたりの男子プレイヤーを操作する話。ラスト10分は勝ち負けより男子二人の醸す熱量に圧倒される。女子は火付け役なんだよね。

 

 

三角関係なんて爛れた話になりそうなところ、アートとパトリックの子犬のじゃれ合いのような友情にクラクラするし、タシに恋してしまうふたりがお口あんぐりキラキラお目目で可愛すぎた。チュロスをふたりでかじって牽制しあったりとか…もっとやれ。

 

 

大人になってからのやり取りがまた絶妙だし、タシは普通とは違う次元でふたりを愛しているんだなって思わせる演出がわざとらしくなくて良い。あのメチャクチャな強風のシーンはいつもは計算高いタシの内面の現れかなと思ったり…。タシはゼンデイヤにしかできないね〜。

 

 

タイブレークのきっかけになるパトリックのサービスね、アートとパトリックだけが分かるっていうのが最高だよね。タシでさえ入り込めないの。緊迫するシーンなのに最高にエモい。

 

 

あとさ、アートが噛み終わったガムをぺって出して、手で受けるのパトリックだったけど、結婚してからタシなんだよね〜。そういうとことかさ〜、細かい。

 

 

三角関係で3人共ハッピーなんて爽やかすぎて泣き笑いだよ。終始ニタニタしていた私を許してください…最高でした。汗の滴が滴るスローモーションも、もたつく暇のない編集も、下からのアングルも、テクノでアガる劇伴も、みんな好き。「君の名前で僕を呼んで」よりも好き。

 

 

何度も観たいので早く配信になってほしい。ゼンデイヤ、プロデュースしてくれて、どうもありがとう。