ヒュートラ有楽町。



イタリア・ボローニャ。1858年、ユダヤ教信者の家に生まれたエドガルドは6歳で異端審問所警察に連れ出され、カトリック教徒として教育されることになる。両親は我が子を取り返そうとするが…。



原作あり。実話を元にした映画。スピルバーグが映画化しようとして断念した話らしい。まず時代背景を理解しなければならないのだが、ローマ教皇・ピウス9世とは、ってところから分からなかったので軽く調べた。つか、調べないと訳がわからない。



コンクラーベで54歳で選出されたピウス9世。就任当初は人気があったらしい。だけど近代文化や現代の思想を否定するようになり、政情も不安定になったためローマを離脱。ローマ共和国が立国されたため、フランスが進駐。その後教皇はローマに戻ったものの、サルディーニャ王国と対立する。1858年、ナポレオンがサルディーニャと組み、オーストリア軍を追い払い、無防備になった教皇領をサルディーニャ王国(のちのイタリア共和国)が制圧。そのあたりの話。



一家はひっそりとユダヤ教信者として生活している。そこへ突然息子が連れ去られる。6歳から矯正施設に入れられたわけだからもう筋金入りというか英才教育が施されることに。そりゃ最初は寂しいだろうけど育ったら親より教皇ってことになるよね。すごい勢いでじーさん教皇に群がる若くてイケメンな信者たちにどん引く。



衰退しつつあるヴァチカンの力をなんとか維持するべくいろんな力が働き、その犠牲になった子供の話でもあるが、本人は90まで生きて司祭をやってたっつーんだから、施された教育の質はその人の人生を左右するっていう話でもあったのかな。



映画での何がエグいって床にベロで十字架を3つ書けって言う教皇(それに粛々と従うエドガルドもヤバい)も気持ち悪いが、看取りのとき母親に隠し持った聖水で改宗させようとするエドガルドな。あれが一番怖かった。本人は良い事してるとしか思ってないんだよね。宗教の操作性なー。



意外と長尺なのだが、全く長さを感じさせなかった。こんな嫌な話、スピルバーグはどのように映画化しようとしたんだろう。ユダヤ系アメリカ人監督の切り口で今作を観てみたかった気もする。