全9話終了。シーズン1まとめ。

 

 

バルト海東国A.D.793。戦士でもある農民ラグナル・ロズブローク(トラヴィス・フィメル)は首長ハラルドソン(ガブリエル・バーン)が東方(ロシア)に何度目かの遠征に出る事をきいて、西国(イギリス)へ侵略に向かう事を提案するが却下される。だがラグナルは秘密裏にフロキ(グスタフ・スカルスガルド)に船を作らせ、兄・ロロ(クライヴ・スタンデン)の同意を取り付け仲間を募り妻ラゲルサ(キャサリン・ウィニック)と息子ビョルン、娘ギーダをおいて航海に出る。漂流しそうになるが、なんとか彼らの船はイギリスのノーサンブリア王国の海岸にたどり着き、襲った修道院から金目のものを略奪、何人かの修道僧を拉致して連れて帰る。

 

 

再び海を渡って無事帰還したラグナルたちを首長ハラルドソンはよく思わず、強奪品と修道僧を取り上げたが、ラグナルは修道僧アセルスタンを奴隷として家に連れて帰り、彼から諸外国の情報や英語を収得する。そして今度はアセルスタンにふたりの子供を任せ、ラゲルサを連れ2回目の遠征に向かうことになったが、そのメンバーには首長からの監視人クヌートも含まれた。ノーサンブリア・エラ王の弟を拉致し、彼の命と引き換えに身代金を要求するが一度裏切られたため、ラグナルが王弟の死体を王の元に送りつけたところ、ラグナルたちは金銀を得た。

 

 

だが、現地の女を襲おうとしたクヌートを止めたラゲルサが自分もレイプされそうになり彼を殺してしまったため、ラグナルは彼女を庇い裁判にかけられる。自分の妻や娘を餌にロロを抱き込んだ首長は、だがロロに裏切られ裁判に負け、ラグナルの家や家畜を焼き、一家を排斥することに。重傷を負ったラグナルは家族とともにフロキのもとに身を寄せるが、ロロが首長ハラルドソンに拷問を受けているという知らせを受け、傷が癒えていないのにも関わらずハラルドソンと1対1の戦いを挑む。激戦の末、勝利を手にしたラグナルの前でハラルドソンの妻シギーは娘婿の老人を刺し殺し、ラグナルが首長であることを宣言した。

 

 

3人目の子供を失ったラグナルは9年に一度とされる参拝に家族とアセルスタン、仲間たちと向かう。そこでホリック王と出会い、懇意となったラグナルは鉱脈を持つ首長ボルグを立ち退かせるよう頼まれる。ラゲルサや娘、アセルスタンを地元において、イェータランドまでホリック王の使者として出向く事になる。なかなか土地を手放そうとしないボルグは和解案を持ちかけ、フロキがホリック王の元に向かう。その間にロロはボルグにラグナルを裏切るよう説得され、ラグナルは美女アスラーグと一夜をともにし、彼女はラグナルの子を宿す。フロキがもどり交捗決裂が伝えられたため、ラグナルはボルグと手を結んだロロと戦う事態に陥る。いっぽうラゲルサは疫病でギーダを失うが、アセルスタンはかろうじて回復する。

 

 

4000万ドルをかけカナダとアイルランドが共同で制作、アメリカのヒストリーチャンネルで放送されたようだけど手間ひまかけられているのが分かる。舞台となっている自然も素晴らしい。まんま北欧で撮影されたかのようなロケーションはアイルランドのWicklow countoryで山も湖も湾もある風光明媚な場所。シーズン1は伝説のヴァイキング・ラグナルのキャラクター説明と成り上がりの経過がメインだが、脇を固める登場人物たち(特にフロキ、首長、ロロ、妻ラゲルサ)も濃いし、巻き込まれた感たっぷりの修道僧アセルスタンがストーリーテラー的な役割を果たしている。アクションも見応えがある。ガンアクションはもちろんないので白兵戦がメインだが剣や弓、特にヴァイキングだけあって斧を軽々と振り回して敵を次々となぎ倒していくのが残酷だけどかっこいい。

 

 

面白いのはクリスチャンと北欧神話を信じるヴァイキングたちの宗教感の違いや封建社会が確立されてない混沌としたヨーロッパが史実とフィクション交えて描写されてるところ。その時代の王って全土を治めているわけではなく城はしょぼいし、軍隊も弱い。領主とか豪族といったほうがよくて日本の戦国時代と似ているかも。北欧神話(これは『マイティ・ソー』の世界なんだけど)は日本のやおろずの神に近いし、海が生活の一部だから魚も重要な食料だし、なんだか親近感を勝手に覚える。

 

 

個人的にはトラヴィス演じるラグナルがワイルドでやんちゃで好奇心旺盛ながらブルーアイズで冷静に現実を俯瞰してるのがもうたまらん〜! なのだが、ラグナルとラゲルサがクリスチャンのアセルスタンに「3Pしようぜ」って誘ったり「ラグナロクってなに?」って無邪気に訊ねるアセルスタンに荒くれヴァイキングどもがいっせいに黙り込んじゃったりナンパの会話が「塩漬け魚でもいっしょに食わないか?」「いいわね」とか…ヴァイキングたちが自由過ぎてじわじわクる。白夜の国だから星を使って航海するんじゃなくて太陽光に頼った羅針盤もどきを使うのもへ〜と思ったし、生け贄の数が「9」だったり色々興味深い。アマゾン・プライムだけでしか観れないのは本当に勿体ない。