中学一年生の時F君という子がいた。
真面目な小柄な野球少年で丸刈りのいい子だった。
教室でF君の一家が893であると噂が飛び交った。
F君がいると「F君の一家はバリバリ~♪F君の父ちゃんもバリバリ~♪F君の姉ちゃんもバリバリ~♪ついでにF君もバリバリ~♪」とヤンキーの合唱がはじまるのだ。
クラスの子たちの証言によると父ちゃんは刺青のヤクザで母ちゃんも凄くて、姉ちゃんもツッパリなんだそうだ。
それなのにF君は本当に模範野球少年で歌を聴きながら悲しそうな目で微笑していた。
担任の先生にわしら女子が数人で聞いてみたら・・・
イケメンの先生が「そ・・そうなんだ・・・。Fの家は本当にそうなんだ・・。」と家庭訪問後に苦しそうに言っていた。
「Fはお姉さんまで・・・。」そこに担任の先生の苦悩が見えた。
「Fはいい子なんだよ。本当にいい子だ・・・。」
私はイケメン先生のF君に対する愛を感じた。
F君はずっと丸刈りで野球をやり通し
決してつっぱりにはならなかった。
その後も「バリバリソング」は続いたが、いつもF君は悲しそうな目で微笑して何も言わなかった。