家に入ると険しい顔をした
TAKAとお母さんが真帆を見た。
娘の絵里奈がこわごわと真帆を見ながら
「ママは悪いことをしたからおまわりさんにつかまって、もうここに住めないんでしょ?」
と言った。
真帆がびっくりしてTAKAを見た。
TAKAが目をそらした。
「真帆、もう離婚だよ。離婚届けに印鑑押しな。」お母さんがそう言って昔TAKAが郵送してきた離婚届けを真帆に見せた。
当然真帆は離婚する気がなくて放置していたものだった。
「TAKAちゃんのお母さんね、数日前くも膜下出血で倒れて一生体が動かなくなったんだって。もうあの女が豪遊できないからさ、TAKAちゃんは安泰だよ。それでね、離婚して絵里奈と私とTAKAちゃんの3人でここに住みたいってさ。」
「な・・なんで??何で私だけダメなの??」
「TAKAちゃんは仕事があるから絵里奈の面倒とか家事ができないからね。私が必要なんだってさ。絵里奈も私のほうになついているしね。」
「どうして??どうして?やり直すって言ったじゃない!」
真帆が叫ぶようにTAKAに言った。
「ごめん、やっぱり俺には無理だ。」
TAKAが逃げるようにおどおど言った。
「KENちゃんとしんちゃんと浮気して、万引きで覚醒剤で、拒食症で入院したりデブになったり・・・もうどんな亭主もお前じゃ、ついていけないよ、真帆。」お母さんが怒りながら言った。
真帆にはぴんと来た。
少女漫画家としてもキャリアが沈没した真帆をもう真帆の母親は見限ったのだ。
TAKAという有名プロデューサーの豪邸で孫の世話でもしながらのんびり生きたいのだ。
そういう理由で真帆は夫だけではなく
母からも捨てられようとしていた。
「そんなうまい話があると思うの?お母さん?TAKAに女ができたらここを追い出されるよ。」
真帆が怒りで体を震わせながら言った。
「お前の変な間男連中よりもTAKAちゃんのほうがずっとあてになるよ。」
お母さんが言った。
「真帆・・・。お母さんのことは責任持って俺が経済的に面倒見るから。絵里奈の大好きな母親代わりの人だし。」
TAKAがこわごわ言った。
「今お袋が寝てるマンションを売って、お前にあげるから。それにお前は駐車場の上がりもあるし・・・。その他ののものは全部絵里奈にあげるということで・・・いいかな・・?」
逃げるようにTAKAが続けて言った。
「何でダメなの・・?こんなに愛してるのに・・。」
真帆が泣きながら絶叫した。
「絶対離婚しないから。判子なんか押さないよ。」
真帆が言った。
「この期に及んで・・。」
真帆の母親が苛立ちをこめて言った。
「あんたが家にいる限りどこの私立の学校も絵里奈に冷たいね。あんたどれだけ騒ぎになってるか分かってるの?」
そう言いながらお母さんが真帆の頭をこづいた。
真帆が「くそばばあ、結局金なんだろう?自分で何もできる才覚ねえから、金があるほうに寝返るんだろう?お前、それでも親かよっ!」
と叫びながら言った後、
TAKAが「頼む、真帆。離婚してくれ。もうこのままだと俺の商売もあがったりだ。絵里奈のためにもふたおやがぽしゃるのは良くない・・。」と懇願するように言った。
「離婚なんかしねーよ。離婚する前にこの世から消えてやるよ。」
真帆が絶叫した。
「お前こそ、親かよ?娘の事何も考えてねーだろ?」
TAKAが怒りながら言い返した。