碧いラフレシアの花 その848 | 連載性春小説  碧いラフレシアの花

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好きじゃない人と天国へ行くよりは


好きな人と地獄に行きたい


ある女の子の80年代



「しんちゃん!」



どこかで聞いた声がして



乱人君が振り向いた。




乱人君はぎょっとした。



「真帆さん・・・。」



「あ・・乱人さん。」



真帆はバツの悪い顔をした。




「TAKAはここにいないよ。」


乱人君が意地悪そうに言った。


乱人君は真帆がTAKAと別居してるのを知っていた。




「TAKAに会いに来たんじゃないのよ。」


真帆がむっとして言った。


何でここに乱人さんがいるのよ・・・真帆は間の悪さに腹が立った。



「乱人さん、昨日からここで働いているんですよ。」


しんちゃんが困った顔をして言った。



「真帆さん、連絡しないでいきなり来るから・・。」


しんちゃんが焦りながら言った。



「KENちゃんは来ないよ。」


乱人君がさらに馬鹿にしたように続けた。



「KENちゃんに会いに来たんじゃないのよ。」



「え?じゃ、俺に会いに来てくれたわけ?」


乱人君が小馬鹿にしたように笑いながら言った。



乱人君はTAKAから


カマをかけたら真帆とKENちゃんの不倫が出てきたので


TAKAが怒って家を出た・・・と聞いていた。



「あんた、バンドどうしたのよ。何で働いてるのよ?」


真帆が嫌味たっぷりで言った。



「解散したんです。」


しんちゃんが恐る恐る言った。



痛いところを突かれて乱人君が引きつった。



「子供置いてこんなところに遊びに来ていいの?旦那さんの店で男を探すと目立つよ?」


乱人君が吐き捨てるように言った。



「別にTAKAだけの店じゃないわ。しんちゃんと共同経営でしょ。しんちゃんに会いに来たの。」



乱人君はびっくりしてしんちゃんを見た。



しんちゃんが青くなっていた。








しんちゃんは真帆と寝ていることを


みんなに隠していた。






「真帆さん。KENちゃんあと数週間で結婚するよ。クリスマスイブに入籍するってさ!」


乱人君がにやにや笑いながら言った。




真帆は引きつった。


そして何も答えなかった。












「しんちゃん、寒い・・・。しんちゃんの机のところでストーブに当たりたい。」


真帆が急に涙ぐんでしんちゃんに甘えるように言った。



しんちゃんは真帆の手を取りながら


子供をあやすようにして関係者入口のほうに二人で消えて行った。




一瞬乱人君には


しんちゃんと真帆の距離感の


理由が分からなかったが





後ろから真帆をしっかり抱きかかえるしんちゃんを見たとき






全てを察した。