春の夜遅くにTAKAが帰宅した。
ストレスから不機嫌な顔をしているのが真帆には分かった。
「最悪。お袋、金使いまくり。」
TAKAがぶつぶつ言いながらコートをかけた。
「縁を切れないの?」
真帆が恐る恐る聞いた。
「妻だったら離婚すればいんだけど、母親じゃねぇ。」
TAKAがげんなりとして言った。
「弁護士さんは何て言ったの?」
「このままのさばらせておくとがん細胞を放置しているようなもんだ・・って。」
「TAKAのお母さんは何を考えているの?8年前も借金作って逃げたじゃない。また現れて同じことして・・・。」
「何も考えていないだろう?ビョーキだよ。」
真帆は2月に出席した自分の女子高の同窓会を思い出した。
クラスの女子達の羨望の眼差しがいっせいに真帆に集まった。
プロデューサーの沢田貴章の妻の座を射止めた真帆は驚異の出世頭だった。
それが会計係と弁護士の話ではこのままTAKAのお母さんの豪遊が続くと時間の問題で破産だと言う。
「もうあいつ、死ねばいいのに。今日は整形外科からしわ取り手術と脂肪吸引の請求書が400万来た。
沢田貴章の母親だって分かるとみんなツケで何でもするんだ。あのババア整形までやりやがった。」
「何も・・そこまで・・。マンションだって買ってあげたのにね。何が足りないのかしら・・?」
「とどまるところを知らないよ。」TAKAが怒りながら言った。
真帆が涙ぐんだ。
不幸中の幸いはTAKAが浮気もせずにちゃんと稼いでいるという事だった。
「真帆・・お袋で潰れる前にお前離婚していいんだぞ・・。絵里奈のために共倒れは良くない・・。」
TAKAが苦しそうに言った。
「いやよ。昔だって体売ってお母さんの借金私が返したじゃない。そんな理由で別れるわけないでしょ?」
「昔と額が違うぞ。」
「親らしいこと何もしないでTAKAが有名になったら帰ってきて、また息子の金を使ってるんでしょ?もう、死ねばいいのに。」