そのうちU子さんは酒臭いKENちゃんの動きが止まったことに気が付いた。
KENちゃんが全く動かなくなったのでU子さんが不安になって、「青木さん、大丈夫?」と聞いた。
「ごめん・・大丈夫じゃない。飲みすぎて立たない。ごめん、真帆。」
KENちゃんはそう言ったまま、また寝てしまった。
U子さんは中村さんのアパートの古びた天井を見上げた。
染みが不可解なパターンを作り出して
心理テストのインク痕のように見えた。
「あともうちょっと経ったらまたやろうよ。」
U子さんがそう言ってまな板の上のきゅうりのようにKENちゃんの体を揺さぶった。
KENちゃんは何も答えなかった。
U子さんはずっと好きで追っかけていたKENちゃんを初めて布団の中でまじまじと見た。
もうKENちゃんは34歳で
よくよく見るとおっさんだなぁ・・と
U子さんは思った。
小柄で老けて
酒臭くて
アレも出来ないKENちゃんに初めて幻滅を覚えた。
「バンド終わってもまた会おうよ。」
U子さんがまた話しかけてみた。
彫像のようにKENちゃんは何も答えなかった。