碧いラフレシアの花 その781 | 連載性春小説  碧いラフレシアの花

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好きじゃない人と天国へ行くよりは


好きな人と地獄に行きたい


ある女の子の80年代




KENちゃんは中村さんのアパートのドアを緊張しながら叩いた。


バンドを辞めるということが言いづらかった。


KENちゃんは中村さんのようには生きられなかった。


中村さんは音楽とともに同じアパートに20年近く生きていた。


鳥取の田舎から出てきて、音楽以外の価値を知らなかった。







中村さんととりとめない話しをした後、KENちゃんは勇気を出して中村さんに

「俺、バンド辞めたいんです。すみません。」と言ってみた。



中村さんは引きつっていた。


それから中村さんもこわばった顔で


「実は僕もバンドを解散させようと思って・・それを青木君に言おうと思っていた。」と言った。



2人は顔を見あわせた。



KENちゃんは何だかおかしかった。


これが潮時というものなのだ。




80年代にしたアメリカツアーの思い出などが頭に浮かんだ。



多分あれが最高でこのまま消えていく運命のバンドだったのだ。




最後のギグの場所のライブハウスは、不思議な事に最初にTAKAのバンドで歌った場所だった。





自分は振り出しに戻ったんだ。


いや後退したのか・・・・。









中村さんはこれから先のことは何も決めていないと言った。


KENちゃんは「カタギになる。」とぽつりと言った。