さらにTAKAが真帆が拒食症で入院する前に編集部が書き下ろしカラーイラスト集の仕事を押し付けた・・・と怒り出した。
TAKAは個人事務所の社長で、他人に気を遣いながら仕事をする感覚がなかった。
真帆は原稿料の額も編集長にはストレートには聞けなかった。
出版業界はいくら「先生」と呼ばれていても、金の事を聞くのは汚いとか・・ナマイキという感覚がある。
だから真帆が自分のギャラも知らずにイラスト集の仕事をしているのを見てTAKAが激怒した。
TAKAのような仕事をしている人間には一生分からない世界だった。
「真帆よりも俺のほうが収入がずっと上だから・・・真帆はもう充分そこらへんの女の何倍も仕事はしたし・・・2年以内に連載は完結で・・いいでしょう??真帆が仕事なんかしなくても家庭経済は充分に成り立つし・・・。」
副編集長のまゆ毛が上がった。
家庭経済なんかどうでもいいんだよ。
出版社の経済状態が問題なんだよ。編集部のボーナス額が、先生が不在だとガタガタ・・・。
この亭主は業界も世界も違う!
それにこの男は自分の事ばかり・・・。
ふと見ると大人しい真帆が借りてきた猫のように黙ってうつむいている。
早坂先生はこの男にマインドコントロールされて
創作意欲を奪われてしまっている!
副編集長は一気にこの有名プロデューサーの夫に嫌悪感を持った。
編集長が「2年以内って・・急ですよね。本当に先生だったら20年連載引っ張れるのに・・・。あの~、先生、先生なしで取り残されるわたし達の気持ちを考えた事がありますか?新しい人がまだ育ってないんですよ。若手で先生くらい描ける人がいなんですよ。まだ育ってない・・・。」
と弱気な声で真帆の目を見て言った。
どうしよう・・・と真帆が動揺した。やはり無責任かしら?私?
「若い奴が育たないのはそっちの問題でこちらの問題ではないんですけど。」
TAKAが喝を入れた。
その場の空気が凍りついた。