碧いラフレシアの花 その656 真帆28歳の正月 | 連載性春小説  碧いラフレシアの花

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好きじゃない人と天国へ行くよりは


好きな人と地獄に行きたい


ある女の子の80年代

元旦の朝刊を見ながら真帆のお母さんが急にはしゃぎ出した。


「TAKAちゃん、ほらほら。納税額が・・芸能部門で3位。有名プロデューサーだねぇ。」


お母さんがそう言いながらTAKAにしだれかかるようにしておとそをついだ。


何故か自分の夫なのに真帆はその事実は嬉しくはなかった。


「あんた甘ったれていないでちゃんと食べなさいよ。そうやってガリガリに痩せてTAKAちゃんを心配させて・・・。いい旦那さんなんだからもう一人子供くらい産んであげなさいよ。」





真帆はTAKAとお母さんが初めて顔を合わせた日の事を思い出した。



真帆が18の時に付き合って19歳でTAKAに捨てられた時にはお母さんはTAKAの存在を知らなかった。


KENちゃんとの3年の同棲を解消した後の引越しで、当時のローディのしんちゃんがコタツや電子レンジを欲しがって真帆のアパートに手伝いに来た。お母さんもまた真帆の引越しの手伝いにやって来た。

その時リバウンド復縁してまた付き合っていたTAKAは、仕事があるので来ないという事だったけれど、仕事のイベントがキャンセルされたので予告なしに手伝いに来た。



そこで真帆はお母さんとTAKAを、運が悪い事に偶然鉢合わせにしてしまった。

真帆が22歳の時だった。

真帆はお母さんが怒るのでTAKAの存在をただ隠したかった。





急にその6年前の今頃を真帆は思い出した。


その情景が蘇った。







「あんたは真帆の何なの?」

お母さんが冷たい口調でTAKAに聞いた。

真帆が急いで「オトモダチだよ。」と言った。

TAKAがむっとした顔をした。


「しんちゃん、コタツ見る?」

真帆がしんちゃんと一緒に逃げるように隣の部屋に消えた。


真帆のお母さんがけっ・・という顔をした。

「どういう感じのオトモダチだい?」

お母さんが馬鹿にしたように聞いた。


あはは・・とわざとらしくTAKAが笑った。

態度の悪さにお母さんが怒り出した。


「あんた何の仕事してるの?」お母さんがムッとしながら聞いた。

「ベース弾き。」TAKAがぼそっと答えた。


「真帆こっちに来なさい!」

お母さんが叫んだ。







TAKAなんか基本は昔と変わらないのに

今ではお母さんの自慢の婿養子だった。


真帆は苦笑した。


「子供の事はちょっと考えさせてよ。私だって仕事してるんだから。」

「仕事はもうやめな。」

お母さんがすぐに言い返した。