碧いラフレシアの花 その645 | 連載性春小説  碧いラフレシアの花

連載性春小説  碧いラフレシアの花

好きじゃない人と天国へ行くよりは


好きな人と地獄に行きたい


ある女の子の80年代



中村さんの家からそのままKENちゃんはコンビニの仕事に向かった。


グレーのコンクリートの道の上に粉雪が落ちてきた。




KENちゃんはまだ真帆の事を好きだと思っていた。


でももう真帆とは別れようと思った。







コンビニの仕事はクリスマスで忙しかった。


すぐに怒るおかしな店長を相手にしているうちにKENちゃんも叫びだしたくなるような孤独を感じた。





何で他の人にあるような


心の平安が自分にはないんだろう。


KENちゃんは心の中でぼやいた。








深夜コンビニの遅番から帰宅した時には



道上には寒さで氷が張って


固くなって滑りそうだった。




KENちゃんが留守電のテープを聞いた。


「KENちゃんの事がずっと好きだからね。19歳の時のクリスマスにKENちゃんが温泉に連れて行ってくれた事、一生忘れないからね。」


真帆の可愛い声でメッセージが入っていた。



あれは22歳のKENちゃんが、TAKAに捨てられた真帆に

精一杯の見栄を張って連れて行った旅行だった。





KENちゃんが昔を思い出した。



あの時温泉で真帆と寝た時にTAKAとするよりいいと言わせてみたりした。



今でも真帆は同じ事を言ってくれた。

夫婦でするときも自分の事を考えながらTAKAに抱かれているんだと言ってくれた。



真帆は嘘をつくような子じゃないから

本当にそうなんだろう。



もうそう思ってくれているだけで

充分な気がした。



KENちゃんには誰か他人の人生を変える力はもうない気がした。


このまま真帆はTAKAと違う世界に生きるんだろうと思った。



これ以上懐かないように


冷たくしよう。




息子の為にも

もう過去とは違う人生を生きよう。