その日の夜にTAKAの自宅に電話がかかってきた。
美穂からの電話だった。
謝ろうと思って、社長から電話番号を聞いたのだという。
「自宅に電話するのやめろよ。誰が電話取るか分からないんだから。」
TAKAがむっとして言った。
「ごめんなさい。あれは社長のアイデアで私のアイデアじゃないの。私はああいうことはした事ないのよ。初めての試みで・・信じて頂戴。」
「別にお前と社長のシモの話なんか興味ないよ。俺のオフの日を無駄にすんな。2度と呼ぶなよ。」
「奥さんは?」
「寝てるよ。あと、電話するのに、夜遅すぎ。色んな意味で非常識。」
美穂が涙ぐんだ。
「ごめんなさい。」
「分かったらもういいよ。」
「あのね・・社長が3Pやろうって言い出して・・・。」
「断れよ。」
「断れない事情があるんだよ。」
「その断れない事情って何だよ?」
「一回別れたいって、社長に言ったら・・事務所を首にするって脅されて・・。」
「社長は、Y組系のヤクザがらみの人らしいよ。枕営業なんかするからそういう事になるんだよ。最初からお前が悪いんだよ。」
「それだけだったらいいよ・・。」
そう言いながら美穂が泣いて続けた。
「首にした後、昔ソープにいた情報をリークして業界から追い出すって脅されて・・。」
「あ・・・、ソープ嬢だったの?」
「うん・・。」
「処女だったワタシをKENちゃんが妻子持ちなのを隠して騙したっていう話は・・?」
「マネージャーに怒られてつい嘘をついたんだよ。KENちゃんには悪いことをしたと思う。私、KENちゃんの事は愛していなかったから・・・。」
「・・・・・・・・・。」
「ソープ上がりなのがバレたのは最近だよ。昔の仲間が事務所にタレこんで、社長がお金積んで黙らせたんだよ。もう一生社長の性の奴隷だよ。愛なんかないよ。」
「でも、お前がぽしゃったら、社だって傾くだろう・・?ついに社長は色ボケで頭がおかしくなったのか?キチガイか?」
「もう、すごい執着で・・。あの調子では移籍したら噂を流されるし・・・。社長の相手しながら歌って社に貢いで、結婚も子供もナシなんだろうなぁ・・私・・。」
美穂が泣きながら悲しそうに言った。
「お前、歌手やめたら?」
「やめてどうするの?」
「ソープでもやれば?」
「いやだよ。」
「男に利用されてるよりはずっとソープ嬢のほうがいいぞ。それでもいいって結婚してくれる奴はいると思うけど。」
「そんな人いないよっ!」
「真帆・・・早坂先生・・は300万体売って俺に貢いだけど・・今は俺の女房だなぁ。一般人にはキツイ話かもしれないけれど・・・。」
「そんな人いるかなぁ・・。TAKAさんみたいに素敵で、それでもいいよって言ってくれる人なんているのかな・・ぁ・・。そんな夢みたいな話あるんだ・・・。」
「社長も年だから、案外ぽっくり行くかもしれないぞ。もう早く死ねばいいのにね。」
TAKAが笑いながら言った。
「死ぬかなー?最近ハワイで買って来たインポのクスリ飲んでるよ。日本では違法みたい。副作用で心臓に来るらしいよ。」
「インポならしなきゃいいのにね。早くそれで死ぬといいね。」
TAKAが笑いながら言った。
美穂も泣きながら笑った。
「私、TAKAさんみたいな人のお嫁さんになりたいよ。」
美穂がため息まじりに言った。