KENちゃんの奥さんがエアロビをやめると言い出した。
KENちゃんがほっとした。
一歳の子供の面倒を押し付けられるのは大変だった。
KENちゃんが離乳食を食べさせたりしてるせいか赤ちゃんはKENちゃんに懐いていた。
奥さんは全然痩せなかったし、モデルどころか一般人としてもキツイ領域の体型ではないか・・とKENちゃんは内心思っていた。
「もう、モデル復帰は諦めたわ。他の事をしたい。」
何故もっと早く諦めてくれなかったんだ・・・とKENちゃんは思った。
KENちゃんもフルタイムロッカーと子育てに疲れていた。
「私ね、簿記の学校に行こうと思うの。」
「え?簿記??」
「実家のお母さんが応援するって言ってくれたし、お母さんがここに来て子供の面倒見てくれるって。」
「あ・・、学費は?」
「実家が出してくれるって。」
KENちゃんはほっとした。
これ以上生活がきつくなるのは嫌だった。
「簿記の試験に受かって、社会復帰して新築のマンションが欲しいわ。」
あー、はいはい、とKENちゃんが聞いていた。
奥さんのマンション購入に向けての貯蓄はKENちゃんを苦しめた。
KENちゃんのお小遣いは相変わらず2万円だった。
「TAKAの結婚式に着ていくスーツがないんだけど。」
「私が通販で購入しておくわ。」
「自分で選びたいんだけど。お金くれない?」
KENちゃんは奥さんのセンスも苦手だった。しょぼい小遣いとダサい服で浮気はしづらくなった。
誰かとこっそり交際するのには難しい小遣い額なので、グルーピーをガムの様に使い捨てにする作戦にKENちゃんは走った。
気がついたらKENちゃんはバンドで一番身持ちが悪い男になっていた。
「量販店で1万5千円以下で買って頂戴。」
「そういうの、一応業界のパーティだから嫌なんだけど。」
「真帆の結婚式に洒落こんでどうするのよ?あんたが結婚するんじゃないでしょ?」