真帆がドライヤーで髪を乾かす音が聴こえた。
橘君は逃げ出したくなった。
少女漫画の出版社なんかに就職したばっかりに
こんな異星人の館みたいな高級マンションで童貞を捨てる羽目になった。
ちっとも橘君は嬉しくなかった。
嫌だといったら先生が編集部にぶーぶー言ってすぐに俺は倉庫番に格下げなんだ・・・。
橘君は自分の弱い立場も悲しかった。
これはセクシャルハラスメントじゃないのか?
童貞なのを馬鹿にしたりして。
職権濫用だよ。
身持ちの悪い女なんかに
俺の何が分かるんだよ。
真帆がスケスケの赤いネグリジェで部屋に入って来た。
真帆が橘君にキスしてきた。
「ねえ?本当に本当に初めてなの?」
真帆がかすかに笑った。
「そうだよ。」
橘君がむっとした。
「いつもこんないやらしいの着てるんですか・・・?」
「うん・・・。同居人が着せるの・・。もっといやらしいのも・・あるよ・・。着てみせてあげようか・・?」
真帆が橘君をじっと見た。
「キスしたことくらいはあるんでしょ?」
「ないです。ファーストキスです。」