土曜日の午後になって、橘君が真帆のマンションまで迎えに来た。
アシスタントも誰いなかった。
橘君の車の中で真帆は不機嫌だった。
同居人のベース弾きがツアーでいないからか・・・?
何でこんなに機嫌が悪いんだよ?
逃げないでくれよ。行方不明にならないでくれよ。
俺がコピー取りとお茶出しに格下げになるんだから・・・。勘弁してくれ・・・。
橘君が真帆のご機嫌取りに走った。
「すぐにお開きになると思いますよ。手間かけてすみません。」
真帆がうんともすんとも答えなかった。
しばらく運転してから
橘君は真帆との会話に成功した。
話から真帆が橘君よりも2つ年上であることが分かった。
ベース弾きとの付き合いは長く
一応結婚するらしい。
橘君にとって真帆は面倒くさいタイプだった。
「僕もうすぐ23になるんですよ。」
また真帆が何も答えなかった。
しばらくして橘君がガソリン不足に気がついた。
「すみません。ガソリンスタンド行きます。」
真帆が具合悪そうにシートにもたれかかって力なく頷いた。