碧いラフレシアの花 その456 | 連載性春小説  碧いラフレシアの花

連載性春小説  碧いラフレシアの花

好きじゃない人と天国へ行くよりは


好きな人と地獄に行きたい


ある女の子の80年代


真帆の担当の編集の高橋さんが初期の胃がんで入院した。


しばらく大事をとって休職することになった。




それで臨時で原稿取りに新卒の橘君という編集者が真帆のマンションにやって来た。



橘君は新卒だから22歳だと言う。


編集部がよこした「おつかい」だった。





真帆が緑茶と栗ようかんを出しながら「高橋さんも大変ねぇ。」と言った。

「でも初期に癌が発見されたから大丈夫みたいですよ。」

大人しそうな橘君が言った。

「私の父親も胃がんで死んだのよ。でもその前に精神的におかしかったみたいだけどね。」

真帆が悲しそうに笑って言った。




橘君は高橋さんから

真帆が数年前に突然失踪した事を聞いていた。


真帆の母親によると同居人のベース弾きが浮気して動揺して

それから真帆が数ヶ月行方不明になり・・・・




当時高橋さんが担当で大騒ぎになり

その結果連載休止で雑誌の売り上げがガタガタに落ちたという事だった。



橘君は高橋さんから

「早坂まりあ先生の機嫌を絶対に損なわないように!」と言い聞かされていた。


橘君は真帆のいきなりの身の上話に困ってしまった。


「あー、でも、お父さん天国で今の早坂先生を誇りに思ってると思いますよ。」

橘君はそう答えた。


真帆がさらにお茶をつぎながら


「そうかな・・。」とぼそっと言った。


「同居人の方は・・?」とよせばいいのに橘君がつい聞いてしまった。

「ツアー中だよ。」

真帆が答えた。


真帆が急須を持つ手が震えてるのに橘君が気がついた。


早坂先生はアル中なのか・・・?


橘君が不安になった。