その女の子がチェーン越しに「ごめんなさい・・。バンド頑張ってください。」と言った。
何だか悲しそうな顔をしていたけれども、こういうリスクの高い話は嫌いだった。
でも結局の所、前の不倫相手よりは、市井の人間であって、同業者じゃない、こういう子のほうがいいんだな・・とは思った。
KENちゃんが残念に思ったのは
その子が奇妙に可愛かったという点だった。
その子がくるりと背中を向けてマンションの階段を降りて行った。
その子が一回振り返った時
チェーン越しにまだ見ているKENちゃんと目があった。
KENちゃんがチェーンを外してドアを全開にして
「せっかくだからお茶でも飲んで行ったら?」
・・・・・とその子に声をかけた。