碧いラフレシアの花 その432 真帆24歳の春 | 連載性春小説  碧いラフレシアの花

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好きじゃない人と天国へ行くよりは


好きな人と地獄に行きたい


ある女の子の80年代



自分の作品の映画化についての話し合いの後、地下鉄のホームのキオスクで真帆が缶コーヒーを買っていた。


毎週放映のアニメが高視聴率なので、劇場用アニメも引っ張るだろうという予測だった。



真帆自身は当初自分の仕事には興味がなかった。


最初の就職先も堅気のアパレルだったし、何故自分の漫画がウケているのか不思議だった。




数日前に真帆の母親が


真帆の少女漫画が売れる理由は


真帆が本気で付き合う男が


一般人じゃないから・・・・


作品がぬかみそ臭くならずに


第一線で引っ張れる・・・


という意見を出した。





真帆の母親曰く・・・



有名大学の文学部を出たような

編集人と結婚したら

真帆の少女漫画家としての作風がダメになる。


・・・・とのことだった。



「だからTAKAちゃんみたいなのを婿養子にして

がんがん描くんだよ。孫が生まれたら全部私が面倒見るからね。中身が老けたらアーティストは終わりだよ。」


真帆のお母さんはそう言った。



ふとそんな事を思い出しながら

地下鉄のホームを見たら



KENちゃんの奥さんが立っていた。



真帆は初めて乳母車の中にいる


KENちゃんの赤ちゃんを見た。



奥さんは幸い真帆には気がつかなかった。



明らかに奥さんが幸せそうでないのは見て分かった。



経済的にギリギリなのか


地味でつましい服を着ていた。



ついでに赤ちゃんがおんおん泣いていた。



ちっと舌打ちするような表情から


奥さんの生活に対する怒りが見えた。





赤い地下鉄がホームに滑り込んで生暖かい風が上がった。



真帆がちらっと奥さんを盗み見した。



悲しそうな赤ちゃんの泣き声が遠くから聞こえた。