朝になって正月の為にKENちゃんと奥さんがKENちゃんの実家に向かった。
奥さんはよく眠れずに真っ赤な目をしていた。
KENちゃんが重い荷物を全部持った。
奥さんはいまだに真帆を疑っていた。
こんな世界観が合わない人の子供を産んで、一生結婚するという選択肢について奥さんは激しく後悔していた。
大晦日の朝、駅でKENちゃんが気を利かせて二人分の缶のお茶を買った。
駅弁も買って来た。
今となっては奥さんにとって、KENちゃんのこまめさが非常にわざとらしく腹さえも立ってきた。
その日は快晴で、あたたかい冬の朝だった。
そういえば丁度5年前は
真帆が女子寮からKENちゃんの実家に引っ越してきて
しばらく一緒に年末の頃から実家に住んで
それからアパートを探して同棲し始めた頃だった。
KENちゃんが昔を思い出した。
あの頃が自分の人生で
一番面白かったよな・・・・
・・・と何となく思った。
電車が発車した時に
急にKENちゃんは
一番最初に真帆を見た時の事を思い出した。
あれってメジャーデビュー記念ギグだった・・・。
「ねえ、どこでTAKAと会ったの?」
KENちゃんがコーヒーを飲みながら真帆に聞いた。
「TAKAのファンだったんです。」
「君の顔は見ないよ。」
「最近のファンで・・、昔からのファンじゃないです。プレゼントに電話番号つけて渡したんです。」
「え・・、それで、電話かかってきて喰われたの・・?」
「・・・・・。」
「俺のところに来てくれれば良かったのに・・。」
「・・・・・。」
「そうすれば傷が浅くて済んだのに・・。」
あれから5年経って
自分は妻子がいて
真帆じゃない娘と浮気している。