「あなた結婚するの?いい指輪ね。私なんか指輪も何もなかったわ。」
奥さんがけんか腰で話しかけてきた。
真帆はちょっと前にTAKAが、KENちゃんは奥さんが妊娠中に浮気しまくり・・と話していた事を思い出した。
今明らかに自分が疑われていた。
それで自分がいかにも疑われそうな女だというのも情けなかった。
奥さんは真帆のでっかいダイヤの指輪を見てけっという顔をした。
「大きなマンションにお住まいなのね。このマンションなんか小さくて・・・。」
奥さんが嫌味たっぷりに言った。
「あなたが変な薬なんかやるとバンドも駄目になるのよね。まあ、あなたは金持ちだからいいでしょうけど、家は困るの。これから子供も生まれるしね。」
真帆は何も言い返さなかった。
「あなたの婚約者にあなたと私の夫の浮気について電話するけど・・いい?」
「かまいません。私じゃないです。」
奥さんがひきつった。
真帆が立ち上がって「もう帰ります。お世話になりました。」と言った。
真帆が出て行ったときに奥さんが
「次に泡吹いて倒れた時は親戚の医者なんか紹介しないよ。」
と馬鹿にしたように言った。
真帆は何も答えなかった。
「次はあんたの婚約者に重りでもつけて海に沈めてもらいなさいよ。どうせ、去年死のうとしたんでしょ?」
奥さんがヒステリックに叫んだ。
真帆は振り返らずに逃げるように去った。