TAKAのアパートに向かう電車の駅のホームで、真帆は紙袋の中の赤いシャネルのバックをもう一回見た。
幾らするのか・・真帆には分からなかった・・・。
兄弟で真帆にこの仕事を辞めて欲しくないし、会うたびにいっぱいこういうのを買ってくれるのだという・・。
特に弟のほうが真帆に夢中なのに気がついた。
弟が、借金を全額返済して、真帆を身請けしてもいいと言った。
ふと・・・、早苗がこの間電話して来て、結婚すると言った事を思い出した。
デザイン事務所に就職して、職場の先輩と婚約したのだという。
式は5月で、早苗の23歳の誕生日の次の日になるのだという。
ああ、早苗の結婚式の時に使おうかしら・・。
何とな真帆はくぼんやりと思った。
今はTAKAと付き合っているんだよ・・と早苗に言ったら・・・
ふーん・・という感じの素っ気無い反応が帰って来た。
早苗は気難しい感じのTAKAが嫌いだったし・・・
昔トモダチが好きだった
バンドのベースの人なんかどうでもいい感じだった。
「TAKAちゃんと暮らすの?結婚するの?」
早苗が聞いてきた。
「しない。」と真帆が答えた。
「乱人さんは元気?」
早苗が聞いてきた。
「元気みたいよ・・。」
真帆が答えた。
電車が来て
風が舞い起こった。
春の夜の
生暖かい
風だった。