夜が更けてから誰かが訪ねてきた。
ディーラーの呉じゃないかと思い・・・これは困る・・と思った。
おそるおそるドアを開けてみた。
TAKAが黒いコートを着て立っていた。
外はまだ激しく雪が降っていて
ほとんど吹雪になっていた。
TAKAの黒いコートの上に雪が乗っかっていて
蛍光灯の光を反射して
きらきらと光っていた。
「あ・・、ちょっと様子を見に来た。」
TAKAがぼそっと言った。
「さ・・寒いから家に上げて・・・。」
TAKAが頼んだ。
「え・・。いいけど・・。すぐに帰ってね・・。」
「うん。」
家の中に上がってすぐにTAKAが台所のテーブルの上に放置してある赤いバラの花束とケーキの箱に気がついた。
「何これ・・?誰か来たの?」
「あ・・うん。」
TAKAが側にあったカードに気がついて勝手に読んだ。
「誰、こいつ?結婚前提の付き合い・・・って何だこりゃ?」
「あ・・これは・・。彼が勝手にそう思ってるだけで、何でもないのよ・・。ケーキ食べる?」
TAKAはすぐ側に置いてあった呉の名刺に気がついた。
「おい。呉ってディーラーじゃないのか?」
「うん・・。でも就職して・・ディーラーやめたから、引っ越すって・・挨拶に来たんだよ。」
TAKAは貿易会社の呉の名刺を馬鹿にしたようにテーブルの上に投げて戻した。
「真帆・・。お前、ディラーにやらせただろう?ドラック買う金が無くなって、体で払ったろ?ありがちな話だ。」
「違うよ。この人日本に住みたいから日本のお嫁さんが欲しいんだってさ。それだけだよ。勝手に向こうが勘違いしてるんだよ。」
「そういう事にしておいてやるよ・・。」
TAKAが馬鹿にしたように笑った。