田中さんが自分の住むK市のマンションの近くに安くて人気がある飲み屋さんがあるというので連れて行ってくれた。
二人で電車に乗ったら混んでいた。
田中さんと密着した。
電車を降りて狭い路地を歩いて赤提灯の飲み屋さんに二人で入った。
田中さんは本当に優しくしてくれた。
真帆はきょうだいも父親もいなかった。
真帆の母親は一生懸命生きたけれど、貧困と責任に押されて真帆に優しい言葉をかける余裕はない人だった。
やっとTAKAが幸せを運んでくれたと思ったら・・・
そういう訳でもなさそうだった・・。
真帆は本当にお酒に弱くて酔っ払ってふらふらした。
多分流産で貧血気味になったのも原因だったのかもしれない。
まともに歩ける状態ではなく・・・・
結局背が高くてがっしりした田中さんが小柄で細い真帆をおんぶして田中さんのマンションに向かう羽目になった。
田中さんのスーツの背中におんぶされて真帆はほわーっとなった。
田中さんの背中からはウールのスーツの匂いと樟脳の香りがした。
この人のことを好きになれれば良かったのに・・・。
真帆はちょっとそう思った・・。