コロナ感染者に脳疾患が発見され、大きな話題になったが、Nature Briefingは2023年01月23日に、マックス・コズロフ(Max Kozlov)は、インフルエンザに代表される一般的なウイルスとアルツハイマー病(Alzheimer)などの疾患を結びつける研究では、しかし、この分析には限界がある、と研究者は警告している。
約45万件の電子カルテを分析した結果、インフルエンザなどの一般的なウイルスによる感染と、アルツハイマー病やパーキンソン病などの神経変性疾患を後年発症するリスクの上昇との間に関連性があることが明らかになった。しかし、研究者らは、このデータは関連性の可能性を示しているに過ぎず、感染症がどのように、あるいはどのように疾患発症の引き金となるかはまだ不明であることに注意を促している。
2023年01月19日付の『Neuron』誌に掲載されたこの分析では、ウイルス感染と神経変性疾患との間に少なくとも22の関連性があることが判明した1。その中には、感染から15年後まで脳疾患のリスク上昇と関連しているものもあった。
https://note.com/digicreatorito/n/n18c5d4f132ea
「これらの関連は、ウイルスの数と関連する神経変性疾患の数の両方において、驚くほど広範囲に及んでいるようです」と、カナダのハミルトンにあるマックマスター大学のウイルス免疫学者マシュー・ミラー(Matthew Miller, a viral immunologist at McMaster University in Hamilton, Canada)は言う。
健康記録のマイニング。
ウイルスが神経変性疾患と関連するのは、今回が初めてではない。例えば、ヘルペスウイルスの一種に感染すると、アルツハイマー病の発症に関連することが知られている2。また、2022年『Science』誌に発表された画期的な研究では、エプスタイン・バー・ウイルス(Epstein–Barr virus)が多発性硬化症(multiple sclerosis)と関係していることを示す最も強力な証拠が発見された3。しかし、これらの過去の研究の多くは、1つのウイルスと特定の脳疾患のみを調査したものである。