最近JISUIは手抜きがいっそう進み、

野菜類は軽くゆでて薄めためんつゆの中に浸しておいて

副菜として何日かに分けて食べるようになった。

今のお気に入りはニラのおひたし。

これに卵の黄身だけを乗せて、絡めて食べる。


黄身の濃厚さと、

ニラのしゃきしゃき感と、

味は出汁が入ってるめんつゆなのだから、

間違いがない。


そして残った白身は、

ニラを食べ終わって底に残っている

黄身と再び一緒にして、

そこに納豆を加えて、ご飯を食べる。


ニラの香りが程よい薬味代わりになって良い。


まっとうな使いまわしの食べ方だが、

白身の消費を納豆で限定してしまうのは、

もし他に誰かいたら、嫌がられるかな?

そうすると白身が余っちゃうな。

と、余計な心配をするJISUI。


一人暮らしは、一人だから

全て思うように出来ることを確認した。





安売りでキャベツを買ってきたはいいものの、

意外と量が消費できず、

最近暖かくなってきたことを考えたJISUIは、

キャベツを塩漬けにした。


保存を目的に、

浅漬けみたいに食べれればいいかと

適当に漬物塩を振っただけのもの。


数日後、すっかり萎れたキャベツを

ポリポリとかじりながら

JISUIは晩のメニューを考えていた。


冷蔵庫を見ると大した食材もない。

あるとすると、キャベツと同じく

塩漬けにしていた豚ばら肉ブロックの端っこぐらい。

あとは野菜袋に玉葱1個だけ。


キャベツは少し塩抜きした後、

結局全部鍋に放り込んでしばらく弱火で煮込み、

鍋いっぱいに出来たそのスープだけで食事を済ませた。


まるでそれは大航海時代の船中でのメニューのようだ。

七つの海をまたにかける海の男達が欲していたのは

冒険のロマンや絶世の美女ではなく、

おいしい食事だったのかもしれない。


一人暮らしの自炊生活は何かと野菜が余る。


あまり肉を口にせず、もっぱら野菜を食すJISUIでも

根菜類は余りがちだ。

と、いうより、根菜にいたっては保存が利くのをいいことに、

その存在すら忘れがちだ。


今日も春ピーマンを安く手に入れ、

何を作ろうか心を躍らせながら帰ってきたJISUIを待っていたのは、

先週買ってそのままにしてた、頭から芽を出した新人参だった。


野菜の保存場所にしてる吊り袋の中から

それを見つけたJISUIは、少し驚き、ちょっとだけ反省すると、

今度は袋の底から新玉葱が出てきて、衝撃の小声を呟いた。


追い立てられたかのように台所に立つと、

新人参を刻み始めた。


ああ、こんなにも新人参とは柔らかいのか。

包丁の刃から伝わってくる感触が

いつもの人参とは違うことに小さな感動を覚える。

皮の色が薄く柔らかく、扁平な新玉葱にも同様のものを感じる。

青々とした艶の良いピーマンも刻み、

厚切り一口大の豚バラ肉に塩少々を振っておく。


愛用の中華鍋を取り出し、十分に熱すると

それらを硬いものから順番に炒め始めて

酒、塩胡椒、最後に少し水を加えて、一旦火を弱める。


水溶き片栗粉を加えて、よく混ぜ合わせてから、

一気に強火でとろみをつける。

とろみがついたそれを豪快に飯を持った丼に全てかけ盛った。


見てくれを気にしないでいいのは自炊料理のいいところだと、

口の中の春と幸せを咀嚼しながら思うJISUIだった。