『セクシー田中さん』大好きだったんです。

毎週欠かさず視聴していました。

 

生き辛さを抱えた人達がそれぞれに悩みながらも前へ進んでいく姿に心を打たれました。

最終回の後も、余韻を引きずりながら関連記事やSNSをチェックしていました。

 

そんな時目にしたのは全世界へ向けて発信された脚本家のインスタの誹謗中傷とも取れる投稿と、同業者のような方達の同調圧力コメント。

 

明らかに原作者の芦原妃名子さんを非難していると感じ一気に気持ちが塞ぎました。

そしてその後の芦原さんの自殺。

芦原妃名子さんの苦悩が綴られたブログも読んでいたので、訃報を知り居たたまれない気持ちになりました。

 

なかなか発表されない日本テレビの報告書をずっと待ち続けていました。

原因が明らかになる事で、亡くなった芦原さんの魂も少しは救われるのではないかと。

遺族の方達も前を向く事が出来るようになるかと。

 

 

調査報告書全文

https://www.ntv.co.jp/info/pressrelease/pdf/20240531-2.pdf

 

ですが90頁に渡る報告書を読んで、どんどん辛さが増していきました。

 

首を傾げたくなる箇所がいくつもありました。

 

原作者を「こだわりが強く難しい作家」と形容している事

こだわりがあるからこそ、あれだけ皆の心を打つ素晴らしい作品を生み出せたのではないのか。

こだわる事が悪のように捉えられ、あげく「難しい作家」呼ばわりとは原作者に対して思い遣りの欠片も感じませんでした。

 

「齟齬」という言葉も出て来ますが、芦原さんは丁寧に言葉を尽くし『必ず漫画に忠実に』とお願いしていたのに、それをないがしろにされていたのではないでしょうか。

それを「齟齬」とは言わないと思います。

 

良いドラマを作りたいという最終地点、最終目標は皆同じであるはずなのに、原作者の意向が伝わらず改変され、多忙な中で芦原さん本人が口を出さずにはいられない環境。

一人でどれほどの心労、心痛を抱えて毎日を過ごされていたのか察するに余りあります。

 

脚本家のクレジット問題もしかり。

相沢友子さんや泉美咲月さんは、インスタで「脚本家の存在意義」「脚本家の尊厳」という言葉を使用されていましたが当然原作者である芦原さんにも尊厳があります。

自身の身を削り、我が子のように生み出した愛のある作品が、改変されていく苦悩は如何ほどだったのか。

撮影前にも関わらず、既に撮影済みとの嘘までつかれ、不信感が増していくのは当然だったと思います。

 

あげくようやく最終回を迎えたあとのインスタでの誹謗中傷。

ドラマ制作中にパンクしそうになっていた心が折れてしまうのも容易に想像がつきます。

 

脚本家は日テレや原作者に対し不満があったにしろ言葉を生業にする方であれば、SNSであのような発言は慎むべきだったと思います。

それに輪を掛けてコメントした人達も、同調圧力を受ける事で追い詰められていく側の恐怖を知って欲しいです。

今回のクレジット問題は、脚本家の尊厳を守る為と言うより、承認欲求の強さのように感じました。

あのインスタ投稿を知っていた日テレは「表現の自由」を盾に削除要請しなかったとの事。

明らかに誹謗中傷と取れる文章を表現の自由と判断する事に矛盾を感じました。

 

 

芦原さんの最後の言葉

「攻撃したかったわけじゃなくて。ごめんなさい」

この言葉が本当に悲しいです。

なぜ芦原さんが謝罪をする必要があったのか、本当に反省すべき人達は誰なのか。

 

日テレの報告書に、芦原さんに対する誠意やリスペクトを微塵も感じる事が出来ませんでした。

 

今回の報告書で、「ドラマ制作関係者がより一層安心して制作に臨める体制をつくることを目的として、事実関係や問題点などを調べました」の一文がありましたが、根本的に調査の目的をはき違えているとしか思えず、ただ虚しさしか残りませんでした。