★★★★
数行読んだだけで加納さんの紡ぐ優しい物語世界に包みこまれる。
そして私は加納作品が本当に大好きな事を再確認した。
本作は『ななつのこ』『魔法飛行』『スペース』に続くシリーズ第4弾で20年ぶりの最新作。
たのもしい先輩犬・ワンと、ゼロと名付けられた仔犬、思い遣りに溢れた家族。
お隣の白い大型犬、網戸にめりこむ赤ん坊の玲奈。
言葉と同時に彼らの映像が脳内に流れ込み、とても幸せな気持ちになった。
『いつかの岸辺に跳ねていく』の徹子を思い起こさせる描写もあって心弾む。
特別大きな事は起きないけれど、穏やかな日常が愛おしくなる。
昨日は「セクシ―田中さん」の原作者、漫画家の芦原妃名子さんの訃報にショックを受け今も悲しさで一杯です。
ドラマは全話見ていたし、生き辛さをテーマにした内容は心に響きました。
ドラマ終了後もしばらく「セクシ―田中さん」関連のニュースを追っていました。
芦原妃名子さんのブログも拝見していて(現在は削除)
文面から相当苦しい思いをされていた事が滲み出ていて心が痛みました。
自分が生み出した作品が、約束とは違う方向へと流れていく。
ただ純粋に自分の作品を、伝えたい思いを、そのまま反映して欲しかっただけなのに…。
ただただ残念で悔しくて堪りません。