★★★★
第4回氷室冴子青春文学賞大賞受賞作の表題作と「アイムアハッピー・フォーエバー」の二篇収録。
青春小説と呼ぶに相応しい、きらめきを感じる作品だった。
物語は中3の蒼子の視点で描かれる。
蒼子の家に突如同居する事になったのは、母の元同僚で余命わずかのバナミさん。
バナミには家族がいるのに一体何故?
脳内でいくつもの疑問符が浮かび上がる中、蒼子の感情の揺れに共感しながら読み進めた。
視点を変え見えて来たのはいじめや虐待の背景。
家族の枠を超えた絆に胸が一杯になった。
中1時代のバナミを描いた書き下ろし作品も瑞々しい感性が光る。