【授業内容】

・講師の方の自己紹介

・出版業界の現状について

・グループワークとその講評

 

【授業感想】

 今までの講義では、出版業界に入るまでにどんなことができるかといった方向性の内容を教えていただくことが多かったため、今回出版業界が今どのような状態にあり、業界内の人たちがそれに対してどのようなアクションをおこしているのかという内情について聞くことができたのは大きな学びになりました。出版のピークが1996年ごろであったことや、その時期は雑誌1兆5633億円、書籍1兆931億円、合わせて2兆6564億円もの売り上げを記録していたことは、私が生まれていない時代だったこともあり全く知らなかったので、そのころの出版業界がいかに影響力の大きい業界であったかを実感することができました。また、スマートフォンの普及により、わざわざ本を使って調べなくても簡単に情報が手に入るようになった影響で、2014年の総売り上げは1996年の総売り上げから約1兆円減少しているというのは、現在ではほとんどの場合趣味として扱われる本たちが情報収集の主な手段として使われていたことがどれほどの利益を生んでいたかを想像するきっかけになりました。同時期に電子書籍の売り上げも統計に追加されたというお話では、書籍が映像作品などの様々なコンテンツへと分化していき、それに伴い視聴の手段も広がったこと、そしてコロナという状況に対し、上記の環境が刺さったことですぐに手に入る電子書籍の需要が高まったという昨今の様子を具体的な数値や実例とともに知ることができました。紙の本が売れずとも内容が広まり、出版業界の売り上げにはつながらない現状に対し、コンテンツの拡散力を好機とみていわゆる原作と呼ばれる書籍の販売につなげる手腕は、長年出版業界に携わってきた方々ならではのスキルを感じられ、コース生も各々気を引き締めなおすきっかけになったのではないかと思います。

 講義の後半では、テーマに対して4人から5人で話し合うグループワークを行い、それぞれのふるまいや話の回し方などに対して講評をいただきました。テーマもグループによって異なっており、本を読むなら紙派か電子派かといった討論内容がわかりやすいものから、世界情勢はよくなっているか悪くなっているかといった、何について話すかが人によって左右されるテーマもありました。全体を通して、グループ内で話すことを最初にある程度方向づけておくことや、どちらかの意見に偏ることを避けることで話し合いを活性化させること、最初に決めた議題に対し、話し合いが停滞しそうであれば柔軟に内容を変化させる臨機応変さが必要であることを教えていただきました。また、今回ほかの人の話し合いを審査側の視点でみることができたので、実際に自分の番が来たときに何に気を付けるか、何をまねるかを念頭に置いて話すことができました。

 全体を通して、自分が進みたいと思っている業界についてや、討論の場でどのようなポジションに立っているかを意識するための客観的な視点を得ることができる講義でした。