【授業内容】

 最初に取り組んだのは、30秒自己紹介のワークである。

 ここでは、名前や所属学部・学科に加え、自分の強みやコースにどう貢献できるかを、限られた時間内で簡潔かつ印象的に伝える練習を行った。言葉の取捨選択や話し方の工夫が求められ、表現力を磨く機会となった。

 

 続いて実施されたのは、エントリーシート作成に関するグループワークである。

 5~6人の班に分かれ、エントリーシートで大事な要素について40分間議論を行い、その内容をA3用紙にまとめて3分間で発表した。発表はカメラ撮影を意識した形式で行われ、実践に近い緊張感のある環境で、自分たちの考えを伝える経験となった。講師の方や、4年生の先輩方からの講評もあり、表現や構成の工夫、グループ内での役割分担の重要性を学ぶ機会となった。

 

 最後に行われたのは、言語化能力を養うペアワークである。

 一方が画面に表示されたイラストを見ながら内容を口頭で説明し、もう一方はその説明のみを頼りにイラストを描くという活動で、相手の理解度を確認しながら正確に情報を伝えるスキルが試された。

 

【授業感想】

 すべての受講者が各ワークに積極的に取り組んでおり、特にグループワークにおける協働の姿勢が印象的だった。

 エントリーシート作成に関するワークでは、ただ内容を話し合うだけでなく、各自が持ち寄ったESの良い点・改善点を指摘し合いながら、何が本当に大切かをグループで見極めていく過程がとても有意義だった。

 「見られている」ことを想定したプレゼンでは、単なる発表以上に実践的で緊張感があり、アナウンサーとして必要な表現力や姿勢を自然と意識できる機会となった。また、各班がタイムキーパーやファシリテーターなどの役割を明確に分担し、さらには自分たちで新たな役割を創出して工夫を凝らしていた点も素晴らしかった。短時間で情報を整理し、論理的にまとめて発表まで行ったことからも、言語化力や構成力が確実に鍛えられていると感じた。ほかにも他班の発表からも多くの学びを得ることができ、全員が自分の言葉で表現することを大切にしていた点は、授業全体に能動的な雰囲気があったとみる。

 全体的に積極的な姿勢が見られた一方で、3つの点で改善の余地があると感じた。

 1点目は30秒自己紹介やエントリーシート作成に関するグループワークにおいて、時間内に終えるということである。限られた時間で最大限の成果を出すという訓練は、アナウンサーに求められる基本姿勢にも通じるため、今後はより一層時間感覚を養う取り組みが必要であると感じた。

 2点目は場の共有意識や他者へのリスペクトを持つことである。発表は学びの場であると同時に、傾聴やフィードバックの訓練の機会でもあるため、他班の発表中にも自班の作業を続けるのではなく、今後は授業全体を一つのチームとして取り組む意識を作る工夫が求められる。

 3点目は質疑応答での積極的な発言である。授業内容を自分なりに整理し、疑問を言語化する力は、論理的思考やアウトプット力の土台となる。例えば「一人一問必須」といったルールの導入など、より多くの受講者が参加しやすくなる仕掛けがあれば、学びの質がさらに高まると感じた。

 これらを踏まえたうえで、今後はより実践的なスキルを高める授業を行いたい。例えば、フリートークや原稿読み、描写といった実際のアナウンス業務を想定した内容を授業に組み込むことで、現場に近い形でのスキル向上が期待できる。こうした実践の中で、受講者全員に「話す」機会が平等に与えられることで、個々の課題も明確になり、意識も高まると考える。

 また、自己PRやプレゼンに関しても、回数を重ねながら都度受講者同士でフィードバックをし合う場を設けて頂きたい。特に、印象を言語化し合うワークを行うことで、自分が他者からどう見られているかを客観的に知ることができ、自己理解の深まりにもつなげたい。

 それに加えて、現場で活躍されているアナウンサーのOB・OGの方々とのパネルディスカッションや模擬指導の機会も、進路を考える上で非常に有意義だと感じている。現場での苦労ややりがいといったリアルな話を聞くことで、仕事への理解がより深まり、今後の目標設定にもつながるはずだ。選考後に行われる内容を一部先取りするかたちでの実施も、意識づけとして効果的だと感じた。