卒業生の皆さんへ

この度の東北関東地域の大規模地震で被災された皆さまに、心よりお見舞いを申し上げます。現在、大学では本学学生の皆様の安否の確認を全力で行っているところです。

3月24日(木)に予定されていた学位授与式は、誠に残念ながら中止とさせていただきました。多くの卒業される皆さん及びそれを心待ちにされている保護者の皆様には、申し訳ありませんが、各地で多発している地震や未だ続いている余震の影響、原発の問題、交通事情、計画停電など多くの問題があり、式典に参加される皆様への安全を第一優先として考えた時に、断腸の思いで中止を決断せざるをえませんでした。卒業生、修了生及び在校生の皆さん、保護者の皆様も、どうかこうした事情をご理解いただければ幸いです。

そこで総長として法政大学を卒業される皆さんに、ささやかながらメッセージを贈りたいと思います。
卒業生の皆さん、卒業おめでとうございます。皆さんは大変困難な状況の中で就職活動をなされ、それぞれ社会人として巣立つことになられたとおもいます。いまだに就職が決まっていない方もおられると思います。しかしこの就職活動の中で、皆さんは初めてきちんと自分を見つめなおす機会を得たといえると思います。
また、今度は大震災という事態で学位授与式も中止ということで、さぞかしがっかりしていると思います。しかし、皆さんが法政大学で学んだこと、ゼミナールやクラブ、サークル活動での思い出、またその中で作られた多くの友人との交流は、一生皆さんの宝物として残ると確信します。

最後に、一言申し上げたいと思います。法政大学は1880年の創立以来、常に様々な大きな障壁に対して、常に自由と進歩という学風をもとに、挑戦し続けてまいりました。皆さんもこれから大きな苦難が待ち受けているかもしれませんが、チャレンジ精神を忘れずに生きていっていただきたい、そう心から願います。

2011年3月17日 法政大学総長 増田 壽男