◇自主マス 2年基礎コース男子◇
(法学部2年 都立富士高校出身)
「雨の日は東京日和」
東京の、ある国家指定の文化財(名勝)に150円で入園できることをご存知でしょうか。
流行りの施設やテーマパークの入園料と比較すると、おおよそ10倍以上も価格リーズナブルであり、財布の中身に心配のある方も気軽に入ることができるというものです。
そこは北区にある旧古河庭園という、歴史的な価値はもちろん、すばらしく趣のある処です。そこの洋館の設計者は鹿鳴館やニコライ堂で知られるコンドルです。
そのような文化財的価値を有する敷地に銀貨2枚で足を踏み入れることができるとなれば、さぞかし大勢の方がその景観を御目に焼き付けるべく馳せ参じていることだろうと思いつつ訪れてみたのです。
訪れると、やはり庭園にはたくさんのツアー客に親子連れ、遠足の小学生たち、修学旅行の中学生たち、地元の方々、外国人観光客、そして仲睦まじい無数のカップルで溢れかえって入園30分待ち………などということはありませんでした。
なんと庭園内はガラガラに空いていました、すなわち「ガラ空き」だったのです。
入口前の様子、やはり閑散としていますね。
只今の時期この庭園にて「春のバラフェスティバル」という祭典が催されていると知ったのです。
それが、私がここを訪ねようと思ったそもそものきっかけでした。
見事に咲き誇るバラたちを一目見、その芳しい香りを「ふんふんと」嗅ぎに参ろうと思ったのです。
その日は梅雨のはじめで雨が降っていたこともあったのでしょうか、園内ガラ空きという幸先よろしくない事態に少々動揺しながらも、入口脇の管理所へ銀貨2枚をいざ支払うべく向かいます。
そこにて受付の方と後方より向かってこられる、見学し終わったのでしょう、奥様方との好奇のまなざしで挟み撃ちに遭いました。
なぜ私が好奇の目で見られたかというと、お察しのように園内には大学生が、というより男性が、私と石畳の整備に専念しておられた作業員の方以外にいなかったからでしょう。
私を除く他の客は数えたところ8名しかおりませんでした。
しかし、旧古河庭園の洋館やバラたちは、自分たちを眺めにやってくる人が少ないからといって、決してその輝きを失わせたりはしないというものです。
需要少なしと言っても訪れる客に対して万全の態勢で出迎えているのです。名勝としての誇りを忘れません。その限り、訪れる価値は絶対にあるのです。
庭園には世界各国から寄せられた多種多様なバラが植えられていました。
残念ながらまだ咲いていないものや蕾のものもあり、雨で全体的に「しなっと」なっている印象を受けました。
ですが、雨の中でも滴をうけて立派に花開いているバラも見ることができました。
雨の日と言えば紫陽花が思いつきますが、雨の日の薔薇も負けてはいないと思います(花の漢字って難しいですよね)。
行ってみた感想としましては、なんだか東京の隠れスポットでも見つけたかのような実態不明の満足感、達成感(ただの自己満足でしょうか)のようなものを覚えました。
最寄り駅の「上中里」には市ヶ谷キャンパス最寄りのJR「飯田橋」駅から30分もかからずに、160円で行くことができます。入園料の方が交通費よりも安いです。
東京にはまだまだ「隠れスポット」は眠っているはずです。
雨や雪の日でも出向く価値ある処をこれからも見つけていきたいと思っております。
そして文化財の価値に逆行するかのようなこの駄文をここまで読んでくださった方に厚く感謝しまして、終わりたいと思います。ありがとうございました。
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