滋賀県の櫟野寺(らくやじ)が所蔵する重要文化財の仏像・全20体が、12月11日まで、上野の東京国立博物館で展示されます。このように20体すべてをお寺以外の場所で展示するのは、初めての機会です。
櫟野寺は、滋賀県甲賀市にある天台宗の古刹で、その始まりは792年にさかのぼり、このお寺を中心にして、この地には、多くの天台宗の寺院が建立されたそうです。「甲賀と言えば、忍者」というイメージがある人も多いかと思いますが、平安時代には、仏教文化が花開いた特別な場所だったのですね。ちなみにこの地域に伝わる仏像は、細身の体形と切れ長の目という独自のスタイルが特徴です。
展示されている仏像の中で注目なのは、やはり、重要文化財で日本最大と言われる十一面観音菩薩坐像でしょう。最澄が延暦寺の根本中堂を建立するための用材を求めてこの地を訪れた時に、櫟(いちい)の巨木にこの観音像を刻んだという伝承があるそうです。仏像本体の高さは3.12メートルあり、1本の木から作られています。台座と光背を含めると、なんと5メートルもあり、展覧会では手が届きそうなほど間近な距離で見られ、特に頭上の十一面についての説明と拡大写真と見比べながら見学できるよう工夫されていたのが、とてもわかりやすかったです。
いちばんお姿が素敵☆と思った仏像は、地蔵菩薩坐像(1187年)です。優しいお顔で、癒されました~。
2016年10月7日(金)18時~、19時~の2回、東京国立博物館の本館正面エントランス前で、「天台聲明七聲会」による聲明公演があります。申し込み不要の無料公演なので、ご興味のある方は、いらっしゃってみてはどうでしょう?
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