第19回関東甲信越地区春季ディベート大会でジャッジをしてみて思ったこと(メモ) | 柏ディベートラウンジ(KDL)のブログ

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先週の関東春季ディベート大会、選手、スタッフ、ジャッジの皆様、大変にお疲れ様でした。

大御所のお祝い事の翌日でしたが、頭を切り替えてジャッジしてきました。

論題発表から1ヶ月弱でしたが、しっかり準備をしてきた試合をみられて、中高生ディベーター恐るべし、というのが素直な感想です。
特に開成中学の否定側立論には脱帽でした。

さて、というわけで、この時期ですから、あまり細々とした解説ではなく、印象として残ったことをメモレベルで残しておきたいと思います。なかなか講評では伝えにくい選手目線で思ったことも残してみたいと思います。

○中学論題
「飲食店における店内全面禁煙の義務化」

・決勝否定立論の質疑で、他の代替手段は肯定側が立証すべきと回答していたが、否定側立論の深刻性の証拠資料で、代替案を述べているので、この対策が限界ラインである旨の主張をして、そこよりも規制が強いプランは受容側の限度を超えているみたいな話を展開しても面白かったように思う。その方がジャッジに否定側の考え方や今後の議論展開の方向性を明示することができて、二反につながりやすいように感じた。

・憲法を用いた議論について、人権は一部を除き、他の権利との調整のため公共の福祉により制限を受けるという議論があった。正直、試合中に決着をつけるのは難しいと思うが(水掛け論になりがち)、憲法を根拠にしたら、この点を回避することはできないので、ディフェンス程度でいいから準備した方がよいと思う。比較の議論にはねてくる。
あと、余談だが、憲法自体が守られるべきだから重要という議論展開はトートロジーに陥りやすく、ジャッジにとらせにくい場合があるので組み立てを気を付ける必要がある。例えば、法学的なアプローチのほかに、経済的アプローチ(コスト算出とか)や歴史的アプローチ(過去に制限されてきた過去があるとか)を用いることにより、多様な視点で意義付けされると議論の深みが増して、ジャッジへの説得力が増す方法が考えられる。

・受動喫煙の因果関係の議論については、様々なアプローチがあるが、全くないことを立証することは極めて難しいだろう。とすると、ジャッジアダプテーションを意識した組み立てが沙羅に重要になるように思う。例えば、ジャッジの属性…喫煙、非喫煙により、同じ証拠資料でも心証形成の度合いは変わると思われ、特に今回の論題はそれが大きいと思う。

○高校論題
「一院制の廃止」

・重要性の議論で、どこまで議論すれば十分といえるかについて、肯定側は衆議院(委員会審議含む)で足りる、否定側はそれだけでは不十分だから参議院(言い方を変えれば、衆議院とは別の機関)での議論まで必要ということに軸足を置いて主張する必要があるのではないか。

・参議院の役割について、ねじれ国会時とそうでない場合で分けるなど、どの場合における主張なのかがわかるよう、場合分けに留意する必要があるように感じる。

(試合の中では、なかなか難しいと思うが、サインポスティングの言い方を工夫するなど、やり方は、あるのではないか)