実況中継!ディベート①(JDA春季2012~肯定側第一立論を読む①~) | 柏ディベートラウンジ(KDL)のブログ

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柏市を主な活動拠点にした地域ディベート団体の活動を記録するブログです。(活動拠点:千葉県柏市、我孫子市、松戸市etc)

2014年&2015年の主な活動:審判派遣(CoDA新人大会、ディベート甲子園)、ブログを通じたオープンなディベート普及活動

(とある都内大学のクラブ棟2階奥の一室で、一人の男子学生が苦悶している様子)


マナブくん(以下「マ」)う~ん、どうすればいいんだろう…。


(そこに男性が入室してくる)


タダコーチ(以下「タ」)どうしたのかな、難しい顔をして。


マ)大学に入学してディベートに取り組んでみて、もうすぐ半年。

  練習試合したり、新人大会に出たりすることで、競技ディベートで何をするかわかってきました。

  もっとうまくなりたいと思って先輩に相談したら、

  「上手な人のスピーチを聴いてみたら?」

  というアドバイスをいただいたんです。


  そこで、昔の試合の音声や動画を見ているんですが、

  そのほかに、インターネットで、

  JDA決勝のスクリプト(スピーチを文字起こしされた原稿のこと)があるという情報を得まして、

  早速、読みやすそうな試合のページをプリントアウトしてみたんです。

 

  ところが、ディベートの試合を文字で読んでみると、

  分量が多いし、1立に比べて議論量が多いから、

  頭にすっきり入ってこなくて、困っていたんです。


タ)なるほど。上手な人から学べることは本当に多いから、

  決勝スクリプトを読むのは、上手になるために有効なアプローチだと思うよ。

  その上で、映像や実際の試合をみたら、もっと多くのことを得られるしね。


マ)ありがとうございます。

  タダさん、こういうタイミングで来たいただいたのも時の運ということで、

  もし良ければ、二立の試合について解説してもらえませんか。


タ)おお…、いいよ。


マ)まじっすか。あざーす!じゃなくて、ありがとうございます!

  まずは肯定側第一立論からお願いします。


タ)(全部やるのか。。。)

  オッケー!

  で、マナブくんは、立論をどうフローに書いた?


マ)ぼくのフローは、こんな感じです。 

   ※(E)は証拠資料の略称、今回は出典と内容は省略(下部にリンク貼ってあります)。

  ○観察  

   1)・税は、所得再分配の制度(E)

     ・社会保障のために税金は不可欠(E)

   2)社会保障には消費税が最適(E)

   3)判断基準→いずれ増税は必要。やるなら早くやるべき(E)


  ○プラン

   1)2018年までに消費税10%へ↑

   2)税収入→年金、医療、介護、少子高齢化対策などの社会保障費

   3)その他必要な措置

 

メリット「社会保障の安定」


  ○内因性

   1)社会保障費は毎年10兆円不足(E)

   2)国債で補っているが、限界きてる(E)

  ○重要性

   1)社会保障費が削減方針、貧しい人苦しむ(E)

   2)国民の最低限度の生活を守るのが国家の義務(E)

  

  4解決性

   1)消費税5%↑で内因性1)の5兆円のギャップ埋まる(E)

   2)社会保障の安定→不安ふっしょく、需要のけんざい化→雇用↑(E)


  リンク→http://japan-debate-association.org/script/sc12sp.html


タ)うん。よく書けてるね。

  立論のフローを書いてみた段階で、この立論のどこが弱いと思う?


マ)読んでみて思ったんですが、

  どこに反駁していいか、さっぱり浮かんできません(@_@)


タ)この立論は、観察から入って、税金の必要性に触れた上で、

  3要件をきちんと押さえているからねえ。スッと入ってくる印象がある。

  ただ、立論の時間に6分間という制約がある以上、完璧な立論はないんだよね。

  たとえJDAの決勝に進出するチームであっても、それは同じ。

  どこかに必ず穴がある、そういう視点で、じっくりと読んでみると効果的だと思う。


  もしマナブくんが否定側の選手だったら、どういう風に反駁するか?

  そのあたりを考えながら、次の質疑で、選手が何を聞いたか読んでいこう。



(第2話へ続く)