日本には四季がある。
世界中の国々が、程度の差こそあれ、それはあって当然と思っていた。
ところが、地球の歩き方などのガイドブックを片手に、
海外に足を延ばして初めて、日本のような四季が少ないことを知った。
緯度の高いヨーロッパやカナダなどの国々の秋は早い。
紅葉もある。しかしその色の種類は少ないし、
あっという間に冬突入なので、植物にとっても深い色合いを表現する時間がない。
世界から日本の秋を求めてくる旅人は、その魅力を知っている。
それは秋だけに留まらない。
日本のアニメやコスプレ文化で育った海外の若者たち、
盆栽や金魚・錦鯉などにほれ込む中年組。
陶芸・織物・刃物など挙げれば、世界の老若男女が注目するのにきりがない。
こうした技術を育んできたものは、まずは日本の自然と言っていいだろう。
四季のいろどりは着物の色彩や柄また美術などに活かされた。
また茶道華道におけるわびさび。
そうした長い年月で積み重ねられてきた日本的なもの。
その日本全体、それを育んだ自然・精神性・田舎の人々の日常の暮らし、
それらを知りたい(無意識でも)という気持ちを膨らまし日本を訪れている。
一方、精神性の2極化で劣化しつつあると言われる日本人。
私たちはそれにどう向き合おうとしているのか。