空想的野球劇場 -10ページ目

空想的野球劇場

読んだ野球マンガの感想など書いていきたいと思います。

いわずと知れた長寿作品の最新刊です。
今巻はオフシーズンにあたっていることもあって、
内容的には『あぶさん』にしてはちょっとなぁという感じがします。

その中でも特に違和感があったことが2つ。

まず一つ目は第6章での、あぶさんの高校3年時のエピソード。
記念すべき1話目にも描かれている場面です。
酒を飲んだあぶさんが、県予選決勝で代打で逆転3ランを放ちながら、酔いのため戻してしまい、それによって飲酒がばれて優勝取り消しとなったエピソードです。
これは物語の大切な導入であり、野球よりも酒を取るといったあぶさんらしいエピソードですし、
だからこそ初期のあぶさんは代打しかできなかったはずなんです。
それがこの第6章では、飲みたくて飲んだわけではないという、ちょっと信じ難い理由が描かれているんですよね。
それも飲んだ量が強い酒(アブサン)とはいえコップ一杯。
また、そのために酒豪である母親を酒乱のように描いているのもちょっと納得いきません。
めっきり球聖になってしまった感のあるあぶさんにふさわしくないとでも思ったのかもしれませんが、
古くから読んでいるファンにはちょっとショックでしたね。

二つ目は続く第7章。
梅桜風太郎が物干し竿にこだわりを見せた場面。
ここでのあぶさんの息子である景虎の行動が納得いかないんですよね。
物干し竿を使う風太郎に、

「気に入らんのや!!」
「お前の物干し竿が!!」
「そのバットは、おやじだけのものなんだよ!!」

と罵声を浴びせ、打撃投手に下がらせて抑えにかかります。
なんかやることが小さいんですよね。
無理だと思うんであれば、放っておけばいいわけですから。
風太郎に対する期待の裏返しなのかもしれませんが。


やっぱり『あぶさん』に期待するのは第8章のような話なんですよね。
ドラフト7位ルーキーの鈴木駿也にスポットを当てた話です。

でも今巻はオフシーズンだったというのが大きいと思います。
シーズンインすれば、またこのような話がたくさん読めるのではないでしょうか。
楽しみにしていると書いて約3ヶ月。
早くも2巻が発売になりました。

楽しみにし過ぎてしまったからなんでしょうが、どうも思ってたのと違うんですよね。
一気に空気感が『男と女』になってしまった感じで・・・。

ザワさんは変わらず『野球少女』で良かったんですが、
廻りの男子部員達がどうも色めきだち過ぎているような・・・。

もちろん、男子部員の中に女子が一人というのが大前提ですので、
そうなるのも、しょうがないのかもしれません。
そもそも作者はそういう部分を描きたかったのかもしれませんし。

と批判めいたことも書きましたが、面白いことに間違いはないです。
野球部員の日常だけをここまで描いた作品というのは、
今まで無かったのではないかと思うほど斬新ですしね。
期待が大きいからこそ、望むものも大きくなってしまうのはしょうがないことで。
最終的に何が言いたいかといえばこれにつきます。

『3巻を楽しみに待ってます。』
埼玉県大会準決勝、彩珠学院vs安政大安政高校。
1-0と安政リードの6回表、彩珠学院の攻撃、
2死満塁で代打・上福岡登場の場面から、
決着、および決勝前夜までが収録されています。

前巻でいよいよ安政のエース・新谷の秘密を暴きました。
「バッターの絶対に振ってこないストライク」を作り出すこと。
簡単に言えば打者の錯覚を狙ったものなんですが、
これは説得力ありますね。

結局、それに勘付いた鳩ヶ谷監督によって封じられてしまったわけですが、
封じられた後の新谷もイメージチェンジして力投。
気迫のピッチングを見せ粘ります。

今巻のハイライトは、1-1で迎えた9回表、2死1、3塁。
新谷と彩学の4番、大宮剛士の対決です。
ここは第214話から第215話にかけてじっくり描かれています。
この駆け引きも引き付けられますね。
内角を3球続けたカウント1-2からの4球目。

新谷が「次で決める!!外に強い球を!!今日一番の最高の球威で!!」
と心の中で覚悟を決めれば、
鳩ヶ谷監督は「一番の球で勝負してくるなら、4番も一番のスイングで応えてやれ!!」
と心の中で返します。
打者の剛士は打席に入る前に監督から『フルスイング』と指示されていましたので、
「思いっきり踏み込んで、力一杯振りぬく!!」
と決意しています。

ここから文字がほとんど無く、投げる新谷と打つ剛士が大きなコマで順番に描かれ、
128ページの剛士のフォロースルーの絵は素晴らしいです。

ここらへんの見せ方は、まるで「熱闘甲子園」を見ているようでした。
好みは分かれるかもしれませんが、個人的には秀逸だと思います。

さて、ますます次巻が楽しみになってきましたね。
同じペースで発刊されるとすれば年末くらいでしょうか?
もう一度1巻から読み返して待ちたいと思います。
巨匠・水木しげる先生の昭和33年に発刊された作品の復刻版です。

主人公の健ちゃんは、ひょんなことから、木を避ける性質の鳥の糞を手に入れます。
その鳥の糞をボールになすりつけると、バットを避ける魔球となり、
その魔球を武器に河童チームや読売巨人軍に勝利します。

おおまかなあらすじはそんなところなんですが、
「木を避ける性質」ということで思い出したことがひとつ。

アメリカの野球映画に春の椿事という作品があります。
昭和25年(1950年)に日本公開された作品ですので、
この『お笑いチーム』の発刊された8年前になります。
この「春の椿事」に出てくるのが、「木材に反発する性質を持つ不思議な液体」
これによってボールがバットを避けるようになるというものです。

水木先生がこの作品の参考にした可能性はあると思います。
話自体は当然のことながら全然違いますので、模倣だとかいうことではないです。
ただ、毎度毎度になってしまいますが、
こういうことに気が付くと、嬉しいものなんですよね。
球界再編、メジャー傘下に入っての10球団1リーグになった、
もうひとつのプロ野球の世界を描いた作品です。

主人公は甲子園で活躍したあと、
ドラフト一位で福岡ウェナー・ファルコンズに入団した、
高卒ルーキーのショート・香坂迅平。
熱血野球小僧という感じで、熱い選手です。

この迅平に、ホームラン打者で無類の女好き・凰藤一慧。
クールなエースの仙波航。
この主要2人に加え、4番一塁が松浦。
まんまソフトバンクの松中がモデルです。

ここに、今巻で問題児・中鉢京が移籍してきます。
この中鉢が噂に違わぬ問題児ぶりを発揮して一悶着を起こします。

こういう架空のプロ野球リーグを描いた作品はやっぱり好きですね。
自チームの選手も個性的でいいですし、対戦相手のチームもいいです。
できれば、選手名鑑みたいなものを巻末にでも付けて頂ければ、
なお、選手に愛着も出て、楽しめると思いますので、
ぜひお願いしたいですね。