人事異動や担当業務の変更がありますと、旧担当者から
新担当者への引継ぎが行われます。
引継ぎというのは、人が変わっても仕事の質やスピードが
変わらないようにするために組織としては大変重要なことです。
担当が変わったというのを理由にして、面倒を社内外にかけて
しまっている例はたくさんあって、客としても社内の人間として
も、これはとてもストレスになります。
担当者が変わるたびに引継ぎを忘れている事項があって、
何年か経ってから、とんでもないことが起こってしまったり、
どういう経緯でこうなっているのかが誰も分からない状態に
なっていることも少なくないでしょう。
旧担当者が新しい人への引継ぐ様子を見ておりますと、その
人のレベルや本音がすごく分かることがあります。
「簡単なことだよ」という姿勢で、何の資料も用意せず、基本的
なことだけ伝えて終わりという人がいますが、自分の仕事を大切
に考えていなかったことが分かります。
イレギュラーなことや特例がどんな仕事にでもあって、それを丁寧
に申し送ることが重要なのに、最低限だけ伝えてあとは好きに
やってくれというような姿勢は、これまでいかにこだわりなく仕事
をしていたかを証明するようなものです。
嬉しそうに、学校の先生のようになってしまう人もいます。
何も知らない子供にモノを教えるような姿勢で、自分のほうが詳しい
のは当たり前なのですが、勝ち誇ったように引継ぎを行っています。
こういう人はたいてい、上の例とは逆に小さなこと、マニアックな
知識のようなことばかりどうだと言わんばかりに伝えていきます。
スムーズな担当の移行が目的ではなく、自分は詳しいということ
を誇示することが目的になっているようで、仕事への愛着はある
のでしょうが、体系的な理解が不足していることが分かります。
担当変更や配置転換があった際に、すぐに新しい体制に移行し、
仕事の質に変わりがなく社内外に安定した対応を行うことができる
かどうかは、その組織のレベルがはっきりと分かる瞬間ではないか
と思います。
仕事の体系的理解があるか、目的・ミッションを意識して取り組んで
きたか、効率化・システム化を進めてきたか、属人的で分かりにくい
状態になっていないかといったことが引継ぎの時にはっきりする
わけで、ここに組織力の一端が現れます。