立教大学教授の山口氏が書いた「聞かせる技術」
定価1.470円
主に講義で、学生を飽きさせず私語をさせないくらい
集中した講義を実現している、ということで有名です。
実際に500名ほどの大講堂での授業も、私語1つなく
寝ている学生もゼロ。
この本は、講義や講師としてのための本ではなく、
あらゆる仕事をしている人に適しています。
論点は抽象的な事象から入らず、半径1m以内の事象
から入る、ということでしょうか。
人間は具体的かつ、身近なものにしか脳が反応しない、
特に受身の場合はその事例が顕著です。
内容の一部をご紹介・・・
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たとえば「金融論」だとすれば、多くの場合「金融とは・・・・・」
なんて、「定義」から始めたりする。
「定義」はいろんな事柄から「共通性」を取り出してきて、学者
が頭の中で作った一番抽象的なものです。だから「遠い」。
そんな遠いところから始めたら、学生たちはさっそく「聞く気」を
無くします。
だから、私の「金融論」はそうしません。
「君たち、今サイフの中に千円札と百円玉があるだろう。
それをちょっと机の上に出してみてくれない」。
こんな風にして始まります。
まさに「手で触れることのできるもの」から始めます。
「千円札と百円玉をよ~く眺めて、この二つの貨幣の決定的な
違いを見つけてください。
もちろん、金額とか形状じゃないからね。そんなものはよく見なく
ても分かる。さあ、何か分かった人、手を挙げて!」
なんだか小学校の授業みたいですが、今の学生たちは結構素直
に応じてくれます。
ちなみに、これを、500人を超える学生たちを相手にやっている
ところが、私の授業の特色です。
「千円札には日本銀行と書いてあるけど、百円玉には日本国
としか書いてない!」----
そうだ、すごい!よく分かったね。大したもんだ。
「この違いが意味するものは、発行主体の違い。千円札などの
お札は日本銀行が発行している。
百円玉などのコインは国(政府)が発行している。
ちなみに、日本の貨幣の主役は日本銀行券。
コインは補助通貨と呼ばれている」
「ところで、日本には、日本銀行でも政府でもないところがつくってる
お金があるんだけど、何か知ってますか?」
話は徐々に本題に入っていきます。
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なるほど、という感じです。
営業もとかく抽象的な「売り」を話しがちですが、このような手元の
事例が有効活用できると成果は大きく変わるのではないでしょうか。
不動産や金融商品など、金額の張るものは尚更です。