人事制度は、社員のポジションにかかわる「役職・等級制度」と、
社員の仕事ぶりなどを評価する「評価制度」と、社員の報酬の
仕組みの「報酬制度」とで成り立っている。
評価制度では、もちろん「何を評価するか?」が大切になるわけ
だが、業績を評価する「定量評価」と、業務のプロセスや取り組み
などを評価する「定性評価」をバランスよく評価するように設計
することが基本。
人事制度のこの考え方で企業の評価もしてもらえる環境ができる
日が早く来てほしいものです。
金融機関が融資先企業の格付けを行うための企業評価においても、
財務諸表を中心にした定量情報を使った「定量評価」と、業歴、
経営者の人柄とか経営の経験、取引先の状況など数字で表せない
定性情報を利用した「定性評価」の両方を見ることは、一応行われ
ている(ような気はする)。
しかし、実態としては極端に「定量評価」に偏っており、「定性評価」
が十分かというと、非常に寂しい状態だと言わざるをえない。
「知的資産経営」という言葉があります。
企業に固有の知的資産を認識し、有効に組み合わせて活用していく
ことを通じて収益につなげる経営を「知的資産経営」といいます。
ここでいう「知的資産」とは、人材、組織力、顧客とのネットワーク、
ブランド等の目に見えない資産のことで、企業の競争力の源泉となる
もの。
これは、特許やノウハウなどの「知的財産」だけではなく、組織や人材、
ネットワークなどの企業の強みとなる資産を総称する幅広い考え方
であることに特徴があります。
金融機関の融資先審査においても、こうした「知的資産」をきちんと
みてもらえるようにしようという動きがあるとは聞いているが、今のところ
はあくまでも定量的であるし、不動産担保主義であることは事実。
「知的資産」を認めてもらう動きには期待したいが、まずは自社の経営
において、「人材」「組織力」「顧客とのネットワーク」「ブランド」といった
「知的資産」を高めることを追求していかなくてはなりません。
きちんと知的資産の棚卸しをして、この資産価値を上げることを中心
とした経営計画を立てることももはや常識ではないでしょうか。