人事制度、評価制度を構築・改定するにあたって、突き詰めて
考えなければならないことの一つとして、会社の業績につながる、
ひとり一人がその役割を果たすために必要となるファクター
(社員に求められること)が何かということを明らかにすることが
あげられます。
そのファクターは、能力であり、スキル・知識であり、意識であり、
取り組み姿勢であり、一つとは限りません。
そして、それはビジネスをする上で共通のものもありますが、商品や
サービス、クライアント(カスタマー)、ビジネスモデル、企業のあり様
によって、それぞれの会社に固有のものとして捉える必要があります。
そのファクターを、会社における人材のレベルを規定する等級制度、
処遇につながる人事評価の仕組みに組み込んでいくことが大切。
その人事制度への組み込みは、社員ひとり一人が意識し、目指す
ものとして分かりやすく、意義が伝わる方法を工夫が必要です。
例えば、ファクターを発揮している人物イメージを描く、現状と目指す
状態を数値化して示す、といったことも方法として考えられます。
研修や採用という組織人事戦略においても、それらを企業の成長、
継続のための投資だと考えれば、期待される効果を生み出すためには、
どんな能力、どんな意識を高める必要があるかを明確にすべきです。
企業価値評価的な考え方を援用すれば、「期待収益率」を上回る
キャッシュフローを生み出す人材になり得るか、という観点を持つことが
求められると思います。
人事制度を構築・改定するプロセス、成果物としての人事制度が、
業績を向上させ企業価値を高める経営を考え、実践すること。
これが本来の「人事制度」ではないでしょうか。