テレビ各社が、業績悪化に伴って東芝が工場において
労働時間を短縮することとした策について、「ワークシェア
リング」と報じましたが、これはまた広報の作文垂れ流し
であります。
もちろん、ワークシェアの捉え方は色々とあるわけですが、
現在および中期的な雇用問題は、雇用の総量をどう増や
すか、具体的には非正規労働者に関わる法制、若年層の
正規雇用促進、ワーキングプアに象徴される格差の是正
などで、それらの解決にワークシェアが有効かどうかが
本質的な論点です。
緊急避難的に休ませたり、労働時間短縮をしたりする
(賃金削減はその結果に過ぎない)だけであれば、それは
「一時帰休」であり「有給消化促進」であり「時短」なので
あって、これまでもやってきたことを、(違う理由で)改めて
力を入れてやるだけのことです。
これがワークシェアだということになれば、現在の雇用問題
の解決には何の貢献もしないものとして終わってしまいます。
現在本当に議論すべきは、雇用創出型のワークシェアで
あって、正社員をリストラしないための策ではありません。
どのようなワークシェアが本当に雇用を増やせるか、主として
製造業の競争力にとってどんな影響があるのか、雇用を分け
合う=賃金が減ることをどう労使で合意するのか、ワーク
シェアで解決できない部分は何でどんなセーフティネットが
必要か、といったことを海外の先行事例を参考にしながら
検討することです。
1週40時間の見直し、短時間勤務正社員、在宅勤務、同一
価値労働同一賃金、新卒一括採用の見直し、教育訓練予算
の充実、ジョブシェアなど様々なアイデアが出ていますが、
民でちょっとづつやるのではなく、これら根本的な施策について
信任を受けた政権が早く検討・実施せねばならないと思います。