「立場が人を作る」という言葉がもてはやされているのは、
いいことではないと思っています。
それを言うなら「立場が人を変える」と。
立場が人を変えることは間違いない。
環境の変化、責任の重さの変化などが、意識を変えさせる
ことは間違いないでしょう。
でも。
いいほうに変わるかどうかは別問題。
全てが結果論だから。
1.本人の成長意欲
2.自分を変革していこうというマジメさと謙虚さ
3.与えられたポジションで最高の貢献をしようという使命感
4.最低限のビジネス能力の下地
これらが揃っていないと立場を与えても、変わる(いい方にか
悪い方にかは別にして)ことは間違いないが「人を作る」になる
かどうかはあてになりません。
事業部長時代、人事役員会でよく聞いた台詞。
「こいつも長いことこのポジションにいるが、停滞してなかなか
パッとしない」
「そろそろ上の立場を与えてやらせてみた方がいいんじゃないか。
立場が人を作るって言葉もあるだろう」
これを読まれている方の多くは、「そんな無茶なことがあるはずないだろう」
と思うかもしれないけど、このパターンはすごく多いんです。
こんなパターンで、そもそも上の4つのことの見極めもないままに、
課長にしたり、部長にしたりすると、マイナスの影響は甚大だ。
やる気も実力もない人を偉くすると、組織とそこにいる人が腐っていく。
「立場が人を作る」という、この言葉を、いい加減な人事異動の
免罪符のように使ったらいけないんですね。
結果論まかせの、環境を変えてやろう程度の安易で無謀な人事は
組織をおかしくします。